水分補給もふくらはぎのストレッチも「対症療法」にすぎない
夜中に突然ふくらはぎを襲う激痛。あるいはスポーツ中の足攣り(こむら返り)。 誰もが一度は経験するこの症状に対し、世間では「水分不足だ」「ミネラルが足りない」「ふくらはぎが疲労しているから揉んで伸ばそう」と指導されるのが常識です。
しかし、もし水分不足だけが原因なら、なぜ全身の筋肉ではなく「ふくらはぎ」ばかりが攣るのでしょうか? なぜ、左右どちらか「片方の足」だけが頻繁に攣るのでしょうか?
当院の臨床において、足攣りを繰り返す患者様(特に脊柱管狭窄症などの診断を受けている方)を診ていると、ある共通点に気づきます。それは「指や肘が伸びない」という症状と全く同じ、【神経の突っ張り(過伸張)】が起きているという事実です。
足攣りの場合、その主役となるのは「坐骨神経」です。 腰椎(腰の骨)の下部から、お尻(臀部)、太ももの裏(ハムストリングス)、そして膝裏からふくらはぎへと伸びるこの長大な神経の走行上に、問題が隠れているのです。
【10秒テスト】左右のお尻、どちらに体重を乗せるのが楽ですか?

ここで一つ、あなたの身体の「歪み」を確かめる簡単なテストをしてみましょう。 今、椅子に座った状態で、「右のお尻」にグッと体重を乗せてみてください。次に「左のお尻」に体重を乗せてみてください。
……いかがですか? あきらかに、どちらか片方の方が「乗りやすい(楽だ)」と感じたはずです。
実は、いつもどちらかに傾いて座ってしまうのは、単なる「クセ」ではありません。物理的にお尻の筋肉や骨格が歪んでおり、身体が「座りやすいお尻」と「座りにくいお尻」を作ってしまっているのです。
とくに、腰椎の反りが強すぎる方(反り腰)は、腰の周囲がガチガチに圧迫されています。その状態で片方のお尻にばかり体重をかけて座り続ければ、そこを通る坐骨神経が常に圧迫され、異常な「緊張」を生み出します。これが足の疲れやだるさ、そして足攣りの大きな引き金になります。
間違ったストレッチが「神経を絞扼」している事実
さらに厄介なのが、良かれと思ってやっている「太もも裏(ハムストリングス)のストレッチ」です。
ネットや動画で見よう見まねで行うストレッチは、ハムストリングスの「内側」にばかり異常なストレスをかけてしまうことが多くあります。すると身体のバランスが崩れ、代償として「外側」のハムストリングスが過剰に緊張し、その下を通る坐骨神経をギュッと圧迫(絞扼)してしまうのです。
また、膝下に「ねじれ」が生じていると、内側のふくらはぎが縮こまりやすくなり、歩くときに足の親指(母指球)に正しく体重が乗らなくなります。 このように、構造が破綻し、神経が常に引っ張られている状態のふくらはぎは、すでに限界ギリギリの悲鳴を上げているのです。
「神経の緊張」+「むくみ」= 激痛の足攣り
神経が圧迫され、筋肉が緊張している。 そこに最後の一撃を加えるのが「むくみ(循環障害)」です。
お腹(腹部)からの血流やリンパの巡りが悪くなり、下腿(ふくらはぎ)にむくみが生じると、組織のなかの圧力が高まります。 【神経の緊張】に【むくみ】が合わさった時、ふくらはぎの筋肉は耐えきれずに異常収縮を起こし、「攣る」という激痛の状況が生じるわけです。
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だからこそ、水分を摂る、マグネシウムを飲む、ふくらはぎを揉むといった行動は、すべて「対症療法」にすぎません。
身体の構造の破綻(座り方の偏り、間違えたストレッチ、反り腰)を見抜き、神経の摩擦を解き放ち、身体を本来の「自然体」に整えること。 そして、その根本原因を深読みするためには、患部だけを見るのではなく、全身の連動性を見極める「施術者の鋭い視点(見立て)」が絶対に欠かせないのです。
水分補給だけで足攣りが治らないとお悩みの方は、ふくらはぎを揉むのをやめて、ぜひ一度当院へあなたの「本当の構造」を確かめに来てください。