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根本原因を見極める力|問診・視診・触診の重要性
どのような痛みにも必ず原因があり、ひとりひとり原因を把握することから始まります。
患者様の状態を正確に把握するためには、先入観を持たないように、全身の状態をチェックする方法が必要です。
👇根本原因を見極めるためのチェックシート
- まずは問診表に記入頂き、いつ?どこで?何をして痛めたのかなどの症状を確認します。
- 症状に合わせて、各関節の動きが正常かどうか問診シートに沿ってチェックしていきます。
- 動きの問題のある部位や関節を動かした時の痛みや張りの違いをチェックします。
- その症状と関連のある関節部位をみつけます。
- 患者さんにも今の状態をわかりやすいように把握してもらいます。
- 根本原因を把握したら、施術を開始します。
例えば、膝痛
- 問診表に膝の痛みの部位や症状を記入してもらいます。
- 膝の動きや痛い部位をしっかり確認します。
- それ以外のなるべく全身の関節の動きをチェックします。
- 問題のある関節の部位を確認し、患者さんに理解してもらいます。
- 膝の炎症をとる対症療法を行います。
- 膝の炎症を引き起こした根本原因へと施術を行います。
- 状態を確認し、改善具合をチェックし、適切な運動法など指導します。
施術者側も患者側も先入観を持たない工夫により自覚を促す
問診視診触診は、患者様の症状や生活背景を深く理解するための「知覚や感覚を刺激する作業」です。
ケガなどの急性疾患も不調や痛みなどの慢性疾患でも同様に、身体の状態を把握する作業が必要です。なぜ痛みが出たのか?どこが痛いのか?正確に把握することが、根本改善、再発予防に繋がる第一歩を踏み出すことが出来ます。
例えば、足首の捻挫

足首の捻挫の場合には、腫れが強く、骨折の疑いがあれば骨折の有無をレントゲンで検査することも必要です。骨折線がみられない場合に、次にどの組織を痛めたのか腫れの部位や症状や圧痛部位から、なるべく正確にチェックします。
- 靭帯損傷なら前距腓靭帯
- 筋腱なら前脛骨筋腱や腓骨筋腱
- 骨膜なら腓骨下や脛骨下
- 関節ならリスフラン関節やショパール関節
など捻挫の場合には、靭帯損傷だけでなく、どの軟部組織を損傷したかで、症状や所見が異なりますので、触診、視診で正確に痛みの部位を判断する必要があります。損傷部位を見逃すと治癒に時間がかかったり、痛みが治らずに慢性化することがあります。
例えば、変形性膝関節症と診断された膝痛

変形性と診断された場合でも痛みの原因が変形によるものなのか十分に確認する必要があります。
痛みの原因はレントゲン上ではなく、触診や動作などで痛みがどのように誘発され、どの部位に痛みが強くあるのか把握する作業が大切です。
明らかに外側や裏側に痛みを感じているにも関わらず、レントゲン上内側に変形があれば、それだけで変形性膝関節症と診断されてしまいます。変形があるのは間違いないかもしれませんが、それが痛みと関連するかは別問題です。
当院では、変形性の関節炎と診断された場合でも、まずは患部の状態と全身の状態を把握します。
明らかに脚の長さが違うバランスの崩れを確認できた場合に、なぜバランスが崩れているのかを問診視診触診で確認していきます。問題部位を確認し、患者さんにも問題が生じていることを理解してもらいます。そして、バランスが原因で膝の痛みが出ていた場合には、その根本が取り除かれるだけで、膝の痛みは軽くなります。
更に膝に炎症が出ていれば、対症療法で直接施術し、治癒を目指します。
問診視診触診のチェックポイント
問診でチェックする主なポイント
- 既往歴
- 動作痛の有無
- いつ痛いか
- 過去の運動
問診にも工夫がいります。先入観を持たないように、なるべく白紙の情報の方が役に立ち治癒に繋がります。
患者さんも、先入観を持ち、感じていない痛みもここが痛いと思い込んでしまっている時があります。慢性化難治化しているほど、痛みの原因が分からなくなり、誤認してしまうことがあります。
視診でチェックする主なポイント
- 姿勢(猫背、肩の高さの左右差など)
- 歩き方(左右のバランス、足の動き方など)
- 肌の色や腫れ、むくみの有無
視診では、目に見える情報を元に体の状態を把握します。
たとえば、肩の高さが違えばバランスが崩れていることが分かります。歩き方や皮膚の状態も重要な手がかりとなり、触診や問診と組み合わせることで、より正確な診断を行います。
触診で確認する主なポイント
- 筋肉の緊張やコリの有無
- 関節の正常な動き
- むくみやこわばり
- 動作痛や圧痛部位
触診では、身体の状態を引き出す事が出来ます。
患者さんにもどこが悪いのか知らせるためのテクニックが大切で、自分の状態を自覚することが治癒力へ繋がるため、施術者だけが状態を把握すればいいのとは違います。
施術の原則:自然な回復を促す
当院では、体を無理に矯正や強制する施術は行いません。
バランスや脊柱の歪みを正す場合にも、患者さん自身の感覚や知覚の変化を重視します。
- 強制的な矯正や患者の知覚や感覚を無視した方法や指導は、一時的な効果しか得られないことが多く、根本的な改善にはつながりにくいと考えています。
- 弾力性を回復させることで、自然なエネルギーが働き始めます。
一人ひとりに合わせたアプローチ
問診・視診・触診によるひとりひとり情報を収集し、思考を巡らせ原因を考えることが根本原因へと近づく唯一の方法です。
結論として、問診・視診・触診は、患者さん人ひとりの状態を的確に把握し、最適な施術を提供するための不可欠なステップです。現代医療においても、その重要性は変わりません
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