首肩痛が治らない

肩のケガなどの亜脱臼に潜む根本原因について

2024年10月28日

亜脱臼という言葉は、スポーツや日常生活においてよく耳にするものです。最近では、メジャーリーグで活躍する大谷選手の受傷をきっかけに、亜脱臼への関心が高まっています。本記事では、亜脱臼の定義、受傷機序、軟部組織損傷との関係、そして正確な診断の重要性について詳しく解説します。

亜脱臼と脱臼の定義
捻挫や靭帯損傷と同様の受傷機序で関節面の相互の位置関係が失われているものとされています。

  • 亜脱臼:関節面の相互位置がずれていますが、まだ一部が接触した状態を保っています。
  • 脱臼:関節面の接触が完全に失われた状態を指します。

参考:標準整形外科学

捻挫・亜脱臼の診断の曖昧さ

「捻挫」や「亜脱臼」という診断名は、あくまでも受傷のメカニズムを示しているにすぎず、本質は同じです。これらの用語では、具体的にどの組織が損傷しているのかまでは特定できないため、慎重な判断が求められます。

アスリートが「足関節捻挫・全治2か月」と診断された場合、損傷が靭帯や筋腱などの軟部組織に及んでいる可能性があります。しかし、こうした診断は簡略化されているため、損傷の詳細が不明瞭なことも多いのです。

このため、亜脱臼や捻挫が疑われる場合は、以下のような精密な検査が重要です。

  • 問診:受傷時の動作や状況の確認
  • 視診:腫れや変色の有無を確認
  • 触診:圧痛や可動域のチェック
  • 画像診断:MRIや超音波で深部の損傷を確認

捻挫の定義でも説明しましたとおり、捻挫と亜脱臼も、いずれも受傷の機序をあらわすものです。

圧脱臼による軟部組織損傷

圧脱臼は前述した通り、その関節面にずれを伴い、軟部組織損傷を起こしたものです。軟部組織損傷には、関節包、滑膜、筋腱、靭帯、神経、血管などの骨や内臓以外の組織をいいます。

  • 関節包(関節を包む膜)
  • 滑膜(関節内の潤滑液を分泌)
  • 筋腱・靭帯(関節の安定性を保つ)
  • 神経(痛みや動作の信号を伝える)
  • 血管(酸素や栄養を供給)

構成する組織によってさまざまな機能を有し関節の機能を正常に保ちます。

亜脱臼により軟部組織損傷を起こした場合には、どの組織が損傷を起こしているか原因を見つける必要があります。大谷選手の場合には、関節唇と呼ばれる軟骨の損傷であり、その炎症をまずは抑制することが求められます。

亜脱臼の原因とは

では、亜脱臼の原因は何でしょうか?

亜脱臼の原因では、まず構造的な原因が着目されます。

例えば、関節がズレを起こしている場合です。肩甲骨の関節窩と上腕骨の骨頭に位置異常が生じていることが、亜脱臼の原因となる考えです。もちろんこれらの問題が亜脱臼の原因となることはありますが、位置に異常を起こすという別の原因がある以上、根本原因はまた別の部位にあります。

根本原因は、はじめは小さな問題から起こり、それが原因で徐々に関節にズレを来たし、何らかの外力が加わることで損傷を引き起こします。

その小さな問題は、治癒に至らなかったケガであることが多いです。肩のケガをしてしまう場合には、肘や手首や指に問題を起こしていることが多く、野球であれば、多くの人は肘周囲に問題をきたすことが多いです。しかし、その肘の問題も本人が気付かないような小さな炎症です。

その炎症は、可動域の低下や腱の肥厚といった問題を引き起こしており、その原因が関節のズレを作っている場合には、肩にズレや全身の歪みとなり、外力による負傷の原因となる恐れは十分に考えられます。

亜脱臼したから仕方ないのではなく、亜脱臼してしまうほど身体に問題を起こしていることを自覚し、しっかり対処していくことが必要ですが、現代医学では、その部位だけを何とかしようと対処するために、若いころはよくてもそれがきっかけで、別の痛みの原因へと繋がり、根本原因が見えづらくなっていくのです。

当院の診察アプローチ

軟部組織損傷の場合、当院では以下のようなプロセスで診断を進めます:

  1. 問診:どのような状況で受傷したのかを詳細に確認や過去のケガや疾患
  2. 視診:腫れや変色、動作の制限を評価
  3. 触診:痛みのある部位や圧痛の範囲を把握

画像診断への依存を避ける重要性

知識と経験がある専門家であれば、問診・視診・触診だけでも軟部組織の損傷を特定することは可能です。一方で、画像診断だけに頼ると、見逃しが生じる可能性もあるため、臨床評価との組み合わせが欠かせません。

専門家による診断の必要性

亜脱臼や捻挫のような損傷では、自己判断だけで対処するのは危険です。痛みが軽度だからと放置することが悪化につながることもあります。スポーツ選手や一般の方問わず、受傷後は専門家の診察を受けることが回復への第一歩です。」

まとめ

亜脱臼や捻挫は単なる「ケガ」の一言では片付けられない複雑な問題です。正確な診断のためには、受傷状況のヒアリングや詳細な身体評価が不可欠です。早期に専門家の診察を受け、適切な対応を取ることで、後遺症を防ぎ、早期の回復が期待できます。

重要なポイント

  • 亜脱臼は、関節面が部分的に接触を保った状態でのズレを意味する。
  • 受傷部位の特定には、問診・視診・触診が重要。画像診断に頼りすぎない診断が求められる。
  • 痛みが軽度でも放置せず、専門家による診断と治療が回復への近道。
  • 昔のケガが原因で亜脱臼を引き起こした可能性がある。
  • 根本原因をしっかり見極めることが生涯に渡り健康を維持する秘訣

受傷した際には、自己判断に頼らず、適切なサポートを受けて早期回復を目指しましょう。

  • この記事を書いた人
バスケットボールイラスト

【柔道整復師】 熊谷 卓眞(kumagai takuma)

「どんな痛みや不調も、必ず原因があり、その原因の最も重要な部位へ施術すると、多くの人は、その効果に驚きます。関節の動きが施術直後から改善し、痛みも軽快し身体全体が軽くなることを実感できます。」

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