捻挫は、一般的に足を捻ってケガをした状態を指しますが、医学的には靭帯損傷を意味します。ネットで「足首 捻挫」と検索すると、靭帯損傷に関する情報が多く見つかりますが、他の損傷部位についてはほとんど触れられていないことが多いです。
しかし、捻挫による痛みの原因は、靭帯の損傷だけではありません。実は、捻挫の多くは靭帯だけでなく、筋肉(腓骨筋や前脛骨筋)、腱、骨膜などの他の組織も損傷している「複合損傷」のケースが多いのです。
例えば、バスケットボールでのジャンプ着地時に足をひねった場合、強い衝撃によって靭帯だけでなく、リスフラン関節の靭帯も損傷してしまうことがあります。このような複合損傷では、内出血が広範囲に広がることが一般的です。
複合損傷の場合、内出血が広範囲に広がりやすくなります。
靭帯は血管が少ないため、靭帯の損傷だけでは内出血があまり広がりません。しかし、筋肉や腱は血管が豊富に分布しているため、これらが損傷すると広範囲に出血が生じることがあります。
内出血が目立つ場合、靭帯損傷だけでなく他の損傷部位を疑う必要があります。骨折線が見つからない場合でも、靭帯損傷だけでなく、腱や関節包などの軟部組織の損傷が併発している可能性が高いです。
このような捻挫は、まずレントゲンの有無により骨折線がないという理由で捻挫として診断されがちですが、広義の捻挫では靭帯損傷以外にも筋腱や骨、関節包や神経の損傷も含まれますので、どの組織を痛めているのか詳細に聞き出しましょう。
捻挫の多くは複合損傷だと思い、対処する必要があります。
複合損傷による捻挫では以下の鑑別
ジャンプの着地でひねったなど、かなり勢いよくひねったにも関わらず、損傷部位が靭帯だけで収まることの方が少なく、靭帯の他に骨膜や筋腱、滑膜や関越包などの軟部組織の損傷を2つ以上複合されて損傷することを複合損傷といいます。
捻挫の場合には、以下のような写真の内出血を起こしやすいですが、これだけ内出血を起こしてる場合には特に靭帯以外の損傷を疑う必要があります。
靭帯自体は、血管に富むものではないので、仮に靭帯損傷だけを起こした場合には、内出血はそんなに出ることはなく、痛みも数日で緩和することが多いと思います。この場合に痛めていることが多いのは、腱や関節包などの軟部組織の損傷です。例えば、腓骨筋腱や前脛骨筋腱の損傷は足首をひねった際に併発しやすいです。触診を行えば必ず損傷しているかどうかわかりますので、中々痛みが取れない場合にも腱の損傷を疑いましょう。
そのほかの損傷部位
- 前脛骨筋腱
- 腓骨筋腱
- リスフラン関節
- 腓骨骨折
- 滑膜の損傷
- 関節包
- 腓骨神経炎
足首をひねった場合には、必ず複合損傷を疑い、問診・視診・触診による方法で状態を把握しましょう。
靭帯だけの損傷と筋腱の損傷を伴う場合に治療の仕方も変わってきます。
固定すれば治るというわけでもなく、固定による悪化するケースも多くあります。
捻挫した場合にも、適切に対処し、早期改善早期復帰をサポートいたします。