はじめに:部活を頑張る君と、心配する保護者の方へ
- 「部活を休みたくないけど、腰が痛い…」
- 「成長痛だから仕方ない、と言われたけど本当なのだろうか?」
- 「スマホの使いすぎが原因?姿勢が悪いのかな…」
勉強に、部活に、そして人間関係に。多感で重要な時期を過ごす中学生にとって、腰の痛みは身体的な苦痛だけでなく、精神的な不安も大きいものですよね。
しかし、まず知ってほしいことがあります。 中学生の腰痛は、決して「成長痛」という言葉で片付けてはいけない、身体からの重要な警告です。それは、将来の分離症やすべり症に繋がる可能性を秘めた、見逃してはならないサインなのです。
この記事では、その痛みの本当の原因を解き明かし、不安を「行動」へと変えるための道筋を示します。
一般的な見解と、そこに隠された「本当の問い」
中学生の腰痛の原因は、座り方や使いすぎなど、様々に語られます。 しかし、私たちは、その前にまずお伝えしたいことがあります。
基本的に、痛みは「異常」です。 中学生だから痛くなるのではありません。激しい運動をしたから、痛くなるのが当たり前なのでもありません。「動ける準備ができていない身体で、激しい運動をすること」に、問題があるのです。
スポーツで活躍したい、活躍してほしいと願うのは当然です。私たちも心から応援します。しかし、身体ができていないにも関わらず、技術やトレーニングばかりを優先すれば、いずれ身体は悲鳴を上げ、競技を続けられなくなるかもしれません。
私たちが立てるべき「本当の問い」は、こうです。
『なぜ、昔に比べて、現代の中学生の身体は、腰痛を起こしやすいほど「硬く」なってしまったのか?』
当院が示す「核心的な答え」:頸椎から始まる「脊柱の弯曲崩壊」
その答えは、間違いなく「姿勢」にあります。 しかし、単に「座り方が悪い」という話ではありません。もっと根本的な、頸椎(首の骨)から始まる脊柱全体の自然なカーブが、現代の生活習慣によって崩壊していることに、私たちは警鐘を鳴らします。
過去の原因を探ることに意味はありません。大切なのは、「なぜ今、痛みが出やすい身体なのか」を正しく理解し、未来に向けてどう対処していくかです。
なぜ?根本原因のメカニズム解説
「身体が硬い」というと、筋肉の柔軟性ばかりが注目されますが、本質はそこではありません。本当の問題は、背骨一つひとつの動きが悪くなる「関節のこわばり」です。
では、なぜ関節がこわばるのか。 それは、首の位置が悪く、ストレートネックなどになることで、脊柱全体の自然なS字カーブが失われ、神経や血液の「伝達性」が悪くなるからです。
この伝達性の悪い状態で、スポーツや長時間の勉強をするとどうなるか。 その具体的なメカニズムを、皆さんが一番長く過ごす**「座り姿勢」**を例にご説明します。

椅子に浅く座り、尾骨あたりで体重を支えるような姿勢になると、骨盤は自然と後ろに傾き、背中が丸まります。いわゆる猫背の状態です。 その丸まった状態で、顔だけを上げようとするため、腰の一部(特に腰椎4番・5番あたり)にだけ、不自然で極端な「反り」が生まれてしまいます。
この、「丸まり」と「反り」が同居した歪んだ凸凹状態で運動をすれば、負担が集中した腰が悲鳴を上げるのは、当然の結果と言えるでしょう。
どうすれば?「自分を知る」ことから始める、当院のアプローチ
当院では、腰痛がある中学生に対し、まず脊柱全体の状態を把握し、歪みを正し、失われた柔軟性を取り戻すことから始めます。
しかし、私たちがいくら「君の身体はこうなっているよ」と説明しても、ご本人に実感がなければ意味がありません。特に、ご本人よりも保護者の方の心配が強いケースも多く見られます。
だからこそ、私たちは「なぜ、この問題に今しっかり取り組むことが大事なのか」を、ご本人と保護者の方、三者で共有することを何よりも大切にします。 「スポーツで活躍したい」といった具体的な目標を一緒に立て、ご自身の身体の問題や癖を知ってもらう。それが、根本改善への第一歩です。
セルフケアのヒント:自分の身体と対話していますか?
腰痛を防ぐために、まず今日からできること。 それは、「自分の身体の状態を知る」ことです。なぜ自分の身体は硬いのか?なぜ足が疲れやすいのか?その「なぜ?」に目を向けるだけで、身体は変わり始めます。
簡単なチェックとして、「股関節の硬さ」を見てみましょう。 椅子に座り、片膝を胸に抱えてみてください。太ももが、すんなりと胸につきますか?

もし、膝が胸につかないからといって、無理やり開脚ストレッチや前屈をするのは絶対にやめてください。股関節が硬くなる本当の原因は、股関節そのものではなく、上半身にあるからです。
(※身体を根本から柔らかくするための本質的な考え方については、現在準備中の有料コンテンツで詳しく解説予定です)
まとめ:その痛みは、未来への大切な警告です
中学生の腰痛は、「成長痛」という言葉で片付けてはいけない、分離症やすべり症を未然に防ぐための、身体からの最後の警告です。
あまりにも痛みが強い場合は、まずレントゲンで確定診断を受けることも大切です。しかし、たとえ骨に異常が見つかったとしても、取り組むべきことは「安静」だけではありません。
「なぜ、骨が分離するほど、そこに負担がかかってしまったのか」というプロセスに目を向け、身体の歪みという根本原因を解決すること。それこそが、本当の意味での改善です。