原因チェックシート現在175項目

わかりやすく解説

【わかりやすく解説】筋膜とは?

最近、「筋膜リリース」「筋膜はがし」「筋膜ローラー」という言葉をよく耳にするようになりました。
まるで 「筋膜さえほぐせば体は良くなる」 というイメージが独り歩きしています。

しかし、実は筋膜だけをケアしても根本的な改善は難しいのです。
筋膜はあくまで “膜”という潤滑層 に過ぎず、その機能を支えているのは もっと深い層にある「結合組織」 なのです。

今回は、 筋膜とその下にある結合組織の本当の関係 をわかりやすく解説し、「なぜ筋膜だけをほぐしても不十分なのか?」をご紹介します。

1. 筋膜とは「膜」であり、単独では存在できない

まず大前提として、筋膜とは「fascia=膜」です。

  • 筋肉・内臓・神経・血管など、あらゆる組織を 包む・仕切る 膜状の組織です。
  • しかしこの膜は ただのシート状の膜 ではなく、
    膠原線維(コラーゲン)や弾性線維 を含む「結合組織」の一部です。

つまり、 筋膜単独では存在できない
それを 内側から支える基質=結合組織 があってこそ、筋膜は働いているのです。

2. 筋膜を支える「結合組織」の役割|膜を生かす基盤

✅ 結合組織が筋膜を支える理由

  • 筋膜そのものは 薄くてデリケート な膜。
  • そこに 水分・栄養・酸素 を届け、老廃物を排出 しているのが 結合組織

→ つまり 筋膜だけをケアしても、下の結合組織が硬くむくんでいたら意味がない のです。

✅ 結合組織があるから筋膜が動く

  • 結合組織が ヒアルロン酸や水分 を供給することで筋膜が潤滑に動ける。
  • 逆に、結合組織が乾いて硬くなると、筋膜も 硬く、動かない膜 になってしまいます。

さらに、生理学的に考えれば「筋膜をほぐす」という行為自体が矛盾しており、
結合組織の弾力性によって筋膜が自然に動く構造 と理解するのが正しいです。

つまり、
原因が結合組織(深層組織)であり、結果が筋膜の動きなのです。

3. 筋膜・結合組織・深層組織の立体的な関係

実は「筋膜」と呼ばれるものは 単層の膜ではなく、複数の層が重なった立体的な構造 です。

【身体の層構造】

筋膜構造
概要
表皮・真皮皮膚層(浅い結合組織も含む)
浅筋膜(表層筋膜)皮膚直下の膜。浅い結合組織とつながる
脂肪組織浅筋膜と深筋膜の間。血管・リンパも通る
深筋膜(深層筋膜)筋肉を包む膜。強靭な結合組織と一体
筋外膜・筋周膜・筋内膜筋線維レベルまで存在する膜

→ つまり、筋膜だけではなく 結合組織を含む複合的な層構造 があり、
それら全体で初めて「滑らかな動き・柔らかさ」を作っている のです。

4. 筋膜が動かない原因は「結合組織」の問題がほとんど

「筋膜が硬い」「動かない」という悩みの原因は、
筋膜のすぐ下の結合組織の癒着・むくみ・線維化 がほとんどです。

❌よくある誤解

誤解正しい理解
筋膜だけが硬いから動かない実は結合組織が硬くて筋膜が動かない
筋膜だけをほぐせばOK結合組織を含めたケアが必須
表面の筋膜だけアプローチすれば十分深部組織(血管・リンパ)も整えないと再発

当院が考える筋膜ケアする方法

筋膜ケアで大切なのは、
なぜ筋膜が重要なのか?どうすれば筋膜が分泌され、筋肉組織の働きが向上するのか?
この本質を理解することです。

本当に大切なのは潤滑性ではなく 「弾力性」
弾力性があることで組織の働きは活性化し、効率も向上します。
だからこそ、外から無理に押す・ほぐすだけの方法には注意が必要であり、専門的な知識と技術が求められます。

筋肉ローラー

筋組織は 外力に弱い構造 です。
例えば、鶏肉を叩いて柔らかくするような外的刺激は、筋肉の構造を壊し、機能を損ないます。

また、外力を加える場合に多いのが神経の損傷です。筋膜をほぐすのであれば、痛みを感じないくらいの弱い刺激でなくてはならないはずです。

✔️ 本来の筋膜リリースとは?

「筋膜リリース」とは 膜だけを引っ張ることではなく
膜を含む結合組織全体を滑らかに整えること を意味します。

✅ まとめ|筋膜への正しい理解とアプローチ

ポイント内容
筋膜の正体結合組織の一部。膜単独では存在できない
筋膜の栄養供給結合組織経由で水分・栄養が供給
正しいケア表層の筋膜だけでなく、深層結合組織を含めた立体的ケア
再発防止血流・リンパ循環 の改善が必須

📝 おわり|筋膜とは

筋膜とは 結合組織と一体となって働く潤滑層 です。
その奥にある 結合組織の弾力や潤い がなければ、筋膜は本来の働きを果たせません。

だからこそ、「筋膜だけをほぐす」のではなく
結合組織や深層の血流・リンパを含めた総合的なケア が必要なのです。

筋膜ケアの本質とは、「膜」そのものではなく、身体全体の弾力と流れを整えること に他なりません

  • この記事を書いた人
バスケットボールイラスト

【柔道整復師】 熊谷 卓眞(kumagai takuma)

「どんな痛みや不調も、必ず原因があり、その原因の最も重要な部位へ施術すると、多くの人は、その効果に驚きます。関節の動きが施術直後から改善し、痛みも軽快し身体全体が軽くなることを実感できます。」

-わかりやすく解説

テキストのコピーはできません。
PAGE TOP