こんにちは、くまのて接骨院です。
部活動や体育の授業などで、例えばお子さんが「ふくらはぎが痛い」と訴えることがあるかと思います。「歩けるくらいだから軽い肉離れかな?」「少し様子を見れば治るだろう」そう思われる親御さんも多いかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか?
「歩けるけど痛い」という症状は、実は非常に判断が難しく、単なる筋肉の問題ではない可能性も潜んでいます。『歩けるけど痛い肉離れ』の原因が、実は神経にある可能性について深掘りします。肉離れの全体像や、応急処置、他の部位については、『肉離れに光を当てるトップページ』をご覧ください。
まず確認したいこと:【重要】「歩ける痛み」で見落としがちな危険なサイン!~肉離れではない可能性~
「歩けるくらいの痛みだから軽症だろう」と考えてしまうのは少し待ってください。実は、歩ける程度の痛みの場合、肉離れ以外の原因である可能性も少なくありません。
特に、以下のようなケースでは注意が必要です。
- 痛めた瞬間がはっきりしない
- 明らかな内出血や腫れがない
- 筋肉の強い張りがない
- 両側(例えば両足)に痛みがある
このような場合は、もしかしたら「神経痛」である可能性も考えられます。
肉離れなら「これ」があるはず!見極めのポイント
筋肉が本当に切れたり損傷したりしている「肉離れ」であれば、筋肉組織や周辺の血管もダメージを受けているはずです。そのため、特徴的なサインが現れます。
- 内出血: 皮膚の下に青あざのような内出血が見られますか?
- 腫れ・張り: 痛む部分がパンパンに腫れて、筋肉を伸ばすと「張り」がありますか?
もし、これらのサインが明確に見られず、触ってみると筋肉自体は意外と柔らかい、あるいは単に「硬く緊張している」だけのように感じる場合は、安易に肉離れと決めつけず、他の原因を疑う必要があります。
もしかして「神経」が原因? 腰との意外なつながり

筋肉に明らかな損傷のサインが見られない場合、次に考えたいのが**「神経」**が原因の痛みです。 ふくらはぎの感覚や動きを支配している神経は、腰椎(腰の骨)から出ています。本人は腰に全く痛みを感じていなくても、姿勢の問題などで腰に負担がかかり、それが足の神経症状として現れることは、特に成長期のお子様には珍しくありません。
実際に、痛む部位を詳しく確認すると、総腓骨神経(そうひこつしんけい)という神経の通り道に沿って圧痛(押したときの痛み)がみられ、さらにその神経の根元を辿っていくと、腰椎5番に強い痛みを確認できる、というケースは非常に多いのです。
**痛い部位は悪い部位ですが、身体の痛みを感じる部位が、必ずしも本当の原因とは限らない。**この視点こそが、長引く痛みの謎を解く鍵となります。
そして、この「神経」の問題は、大きく2つのパターンで、ふくらはぎに痛みを引き起こします。
パターン1:神経の働きが悪くなり、「筋肉の質」が低下する
『そもそも、なぜあなたのふくらはぎは、それほどまでに「もろく」、怪我をしやすい状態になってしまったのでしょうか?』
その答えは、筋肉の「質」にあります。 実は筋肉の線維にも「質」があります。血流が悪く、柔軟性を失い、硬くもろくなっている「悪質な筋線維」は、ちょっとした負荷でも切れやすく、肉離れの原因となります
一方で、しなやかで血流の良い「良質な筋線維」は、負荷がかかっても簡単には切れません。
また、腰の問題などで神経の働きが悪くなると、筋肉が十分に神経伝達されず、萎縮して質が悪くなる「神経性の萎縮」という状態に知らず知らずのうちになることもあります。血流が悪く、柔軟性を失った「悪質な筋線維」は、ちょっとした負荷でも断裂しやすく、これが**「内出血を伴わない、肉離れのような痛み」**の正体です。
パターン2:神経そのものが「つっぱって」痛みを出している
身体の歪みなどによって、腰から足先までの神経の通り道全体が、常にピンと張り詰めた「つっぱった」状態になっているケースです。この場合、筋肉ではなく、神経そのものが痛みを発しているため、ふくらはぎをマッサージしても、全く効果がありません。
【専門家メモ】
【膝裏の重要性】ハムストリングスと腓腹筋の「握手」
注目すべきは、太ももの裏の筋肉であるハムストリングスと、ふくらはぎの腓腹筋の関係です。これらの筋肉は、膝の裏で、まるで握手をするかのように複雑に交差し、連結しています。そのため、ハムストリングスが硬くなると膝裏で筋肉が突っ張り、神経を摩耗し、前脛の張りをつくります。普段から下腿のむくみを強く感じる場合には、特に神経の影響をうけており、ただそれは、脊髄神経などの運動神経や感覚神経によるものではなく、自律神経による循環障害も隠れています、なので、たかが肉離れですが、されど肉離れなのです。
【セルフチェック】それ、本当に肉離れ?見落としがちな危険なサイン
お子様の痛みがどちらのタイプに近いか、判断に迷う場合に確認してほしいポイントです。

- 急に「ブチッ」という音や感覚と共に痛みが始まったか? (→ YESなら肉離れの可能性↑)
- 痛む場所に内出血や明らかにへこんだ場所があるか? (→ YESなら肉離れの可能性↑)
- 痛む筋肉全体が硬くパンパンに張っているか? (→ YESなら肉離れの可能性↑)
- 痛めたはっきりした瞬間を覚えていないか? (→ YESなら神経痛の可能性もあり)
- 痛みが片側だけでなく、両側にもあるか? (→ YESなら神経痛の可能性もあり)
- 痛む場所に明らかな内出血や腫れがほとんどないか? (→ YESなら神経痛の可能性もあり)
- 安静にしていてもジンジン、ピリピリといった種類の痛みがあるか? (→ YESなら神経痛の可能性もあり)
- 日頃から足がむくみやすいと感じるか? (→ 日頃から神経に負担がかかっているサインかもしれません)
どうすればいい? 原因に応じた正しいアプローチ
原因が違えば、当然対処法も異なります。
- もし本当に「肉離れ」だったら?
- 筋肉の損傷が明らかな場合は、初期の炎症を抑えるためのアイシングが重要です。そして、癒着を防ぎ、筋肉の弾力性を回復させるための適切なリハビリが必要になります。
- もし「神経痛」が疑われたら?
- この場合、ふくらはぎへのマッサージやストレッチは逆効果になることも。重要なのは、神経の圧迫や炎症を引き起こしている根本原因(多くは腰部)へのアプローチです。
まとめ:お子さんのために、まず「原因」を知ることから
今回は、特に『歩けるけど痛い』ケースについて詳しく解説しました。肉離れの食事法や予防法など、その他の情報については、こちらの『肉離れの悩みの光を当てる』にまとめてありますので、ぜひご覧ください。
今回の記事で大切なのは、安易に自己判断せず、まずは痛みの本当の原因を特定することです。 原因が分かれば、適切な対処法が見えてきます。そして、それはお子さんが安心してスポーツに打ち込んだり、健やかな学校生活を送ったりするための第一歩となるはずです。
もし、お子様のふくらはぎの痛みが長引いたり、原因がよくわからなかったりしてご心配な場合は、ぜひ一度、当院にご相談ください。