本当の原因は「肩」ではなく「神経の緊張」と「体内の循環不全」。そのサインは、肩が痛くなるずっと前から身体に現れています。
はじまり:「これって四十肩…?」
あなたが今、本当に知るべきこと
- 「ある日突然、服を着替えるときに肩に激痛が走った」
- 「夜、ズキズキとうずく痛みで目が覚めてしまう(夜間痛)」
- 「他人の『四十肩はすぐに治った』という話を聞いて、自分も大丈夫だと思っていたのに…」

四十肩・五十肩といっても、その症状や原因は一人ひとり全く異なります。他人の情報に一喜一憂するのではなく、まず「自分の身体で、今なにが起きているのか」を正しく知ることが、改善への最も重要な第一歩です。
当院では、問診の際に肩以外のことも詳しくお伺いします。例えば、
- 最近、胃腸の調子が悪い
- 手足がむくみやすい、または冷えやすい
- 以前よりお酒に弱くなったと感じる
などです。なぜなら、肩の痛みと、一見無関係に思えるこれらの「内臓の不調」には、非常に密接な関係があるからです。この記事では、なぜ自己流の対処が危険なのか、そして、あなたが本当に取り組むべきことは何なのか、その本質をお伝えします。
やってはいけない!なぜマッサージやストレッチで悪化するのか?
一般的な見解として、四十肩は「肩関節周囲の炎症」であり、痛む場所の筋肉や腱をマッサージしたり、無理に動かして可動域を広げようとする方が非常に多いです。
しかし、当院では「炎症が強い時期に、筋腱を揉んではいけない」と考えています。 なぜなら、四十肩の痛みの多くは、筋肉そのものではなく、その周辺を走る「神経」が、何らかの原因で過敏に緊張したり、組織と癒着して摩耗したりすることで発生しているからです。
何らかの原因で、肩周りの神経が過敏に緊張したり、周囲の組織と癒着して摩耗したりしている状態で、むやみに揉んだり伸ばしたりするとどうなるでしょう?それは、火に油を注ぐようなものです。神経がさらに興奮し、痛みや夜間痛が、かえって強くなる危険性があるのです。
肩の筋肉が硬くなっているのは「結果」であり、その奥にある「神経」へのアプローチなくして、根本的な改善はあり得ません。
当院が考える本当の根本原因
「自律神経の乱れ」と「姿勢の悪化」
では、なぜ神経が緊張し、関節の弾力性が失われてしまうのでしょうか。その大元には、40代、50代という年齢で特に顕著になる、2つの問題が隠されています。
自律神経の乱れからくる「循環・代謝不良」
40代、50代は、血圧、血糖値、中性脂肪など、健康診断で様々な数値を指摘され始める年代です。これらは全て、身体の消化・吸収・代謝の機能が低下しているサインです。 自律神経の乱れは、内臓(特に肝臓や胃腸)の働きを低下させ、身体全体の血液循環を悪化させます。その結果、代謝されなかった不要物(糖や脂肪など)が血液中に残り、それが炎症物質となって、たまたま負担のかかっていた肩関節で強い炎症(痛みやこわばり)を引き起こすのです。
姿勢の悪化からくる「神経の摩耗」
猫背や巻き肩といった不良姿勢は、肩関節を常に前方に変位させます。この状態で腕を動かすと、正常な位置にあれば傷つかないはずの神経が、骨や腱とこすれて摩耗し、炎症を起こします。これが「インピンジメント」の一因でもあります。
試しに、背中を丸めて猫背のまま腕を上げてみてください。おそらく、正常な姿勢の時より、ずっと上がりにくいはずです。この「上がりにくさ」こそが、あなたの肩で毎日起きている、負担の正体です。化は肩の可動域を低下
「お腹の不調」と「肩の痛み」。一見無関係に見えるこの2つが、実は深く繋がっているのです。
どうすれば?専門家による、
根本原因への的確なアプローチ
この複雑に絡み合った問題を解決するためには、まず「安静と冷却」で炎症を抑えることが基本です。良かれと思って続けている自己流の運動(肩甲骨回しなど)は、一度すべて中止してください。
- 神経の緊張・摩耗を見極める
- 痛みの出方や腕の上がる角度から、どの神経が問題かを特定します。無理に動かすことはせず、神経の圧迫を取り除くことを最優先します。
- 主な関連神経: 腕神経叢(わんしんけいそう)
- 主な関連神経: 腕神経叢(わんしんけいそう)
- 痛みの出方や腕の上がる角度から、どの神経が問題かを特定します。無理に動かすことはせず、神経の圧迫を取り除くことを最優先します。
- 自律神経系の働きを整える
- 腹部や背部へのアプローチで内臓の働きを活性化させ、循環と代謝を改善し、組織の「弾力性」を回復させます。
- 主な関連神経: 迷走神経(めいそうしんけい)
- 主な関連神経: 迷走神経(めいそうしんけい)
- 腹部や背部へのアプローチで内臓の働きを活性化させ、循環と代謝を改善し、組織の「弾力性」を回復させます。
- 最後に、肩関節周囲の連動性や潤滑性を取り戻す
- 全身の状態が整うと、肩関節の動きが自然と良くなります。これは、関節の摩擦を減らす「滑液」が、正常に機能し始めるためです。
- 重要な組織: 滑液包(かつえきほう)
このように、原因を一つひとつ丁寧にひも解いていくことが、後遺症を残さず、再発しない身体を作るための、唯一の道です。
まとめ:「もちは餅屋」- 専門家に任せる勇気
四十肩・五十肩の痛みが、いかに複雑な原因から成り立っているか、ご理解いただけたでしょうか。 これは、ご自身で対策するには、あまりにもリスクの高い症状です。
「いつか治る」と放置したり、間違ったセルフケアで悪化させてしまったりする前に、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。 早期に回復し、確実になおすなら、まずはご自身の身体がどうなっているのかを正確に知ることが、最も効率的なのです。
もちろん、一度の施術で全てが解決するわけではなく、定期的な通院が必要です。お住まいや環境など、様々な事情があるかと思いますが、それも含めて、あなただけの改善計画を一緒に立てさせてください。
その大切な一歩を、私たち「身体のプロ」に任せていただけませんか。