当院の星状神経節照射の考え方について

星状神経節について
星状神経節はC7T1の前方に位置し、頸部の前、鎖骨の裏側、第1胸椎の高さにあります。この神経節は主に上肢の自律神経の調整を担当しています。
主な分布域には頭部、顔部、頸部、上部胸背部、上肢、胸腔内臓器が含まれ、これらの領域に関連する症状や疾患に対して効果があるとされています。例えば、耳鳴り、頭痛、レイノー病、肩こりなどの治療に有効です。
星状神経節照射の方法
星状神経節への照射は「星状神経節照射」と呼ばれます。星状神経節にブロックを施すことは「星状神経節ブロック」といいます。当院で行っているのは星状神経節照射です。
星状神経節は鎖骨の裏側に位置するため、直接施術するのは難しいです。そのため、深部まで光を届かせることができる近赤外線(スーパーライザーやメディチャーライト)を用いた照射が行われます。
照射の際には頸動脈を触診し、その内側に光を当てることが効果的です。部位を確認しながら照射を行い、もし張りや浮腫みが強い場合は、照射位置を少しずつずらしながら行うことで、むくみを改善し、照射部位を確認しやすくします。
神経節への照射の効果
星状神経節への照射により、交感神経の緊張が抑制され、以下の改善が見られます:
- 疼痛の軽減
- 血流障害の改善
- 発汗異常の改善
- 神経麻痺の緩和
- 機能低下の改善
自律神経の主な働き
自律神経は背骨の脊髄から出て、神経節を経由して全身に張り巡らされています。主に次の2つの作用で身体の機能を整えています:
- 交感神経=緊張
- 副交感神経=弛緩
多くの人が交感神経に偏りがちですが、トップアスリートは副交感神経の優位性がパフォーマンスを最大化することを実感しています。一方、企業などで働き詰めの人は交感神経が優位になりやすいです。
自律神経の乱れがもたらす影響
自律神経が乱れると、以下のような不調が現れやすくなります:
- 頭痛
- 発赤
- 異常発汗
- 冷え
- 疲労感
- 不眠
- 便秘
- 胃腸障害
多くの人が自律神経の乱れを感じており、当院では自律神経を整える施術やアドバイスを行っています。
当院の対応
当院で星状神経節照射に特化しない理由は、結果的に星状神経に乱れがあるためです。星状神経の乱れが原因となる場合には、積極的に使用するのですが、多くの場合は対症療法的に使用されます。そのため、当院では、星状神経周囲、例えば、鎖骨周囲や僧帽筋、胸鎖乳突筋などに明らかにむくみや膨隆があり、問題がありそうならまず、その周囲の筋をゆるめ状態を整えつつ、星状神経照射を行います。
当院では新たに星状神経節照射について効果や効能を確立しました。星状神経節照射をするか判断が難しかったのでは、どのようなタイプ、どのような症状の場合に使用するかということでした。
基本的に当院は基本ハンド照射による左手で状態を確認したうえで、右手で近赤外線照射を行います。左手の役目は患部の状態が変化していることを確認する役目があり、施術後に患部が適切な弾力性が回復するまで照射し続けることにあります。
そのため、固定照射でも患部の状態が変わっている必要があるのですが、仮に照射部位が少しずれていた場合に10分固定照射し、確認したらまだ患部の状態が不十分だった場合に、余計な説明と妥協が生まれてしまいます。
なので、星状神経節照射も当院は基本ハンド照射を行います。
星状神経節照射がどのようなタイプな方におすすめか?
星状神経節照射は当院では、前述した通り効果を施術前後で変化があるかどうかどう判断するかが大切であり、星状神経節照射の効果を患者さんの感覚に委ねることが出来ませんでした。
『なんか効いた気がする』という感覚的な施術ではなく、星状神経節照射後に『軽くなったことを』施術者と患者の感覚が一致する必要があります。
新たに当院は星状神経節照射の効果を再発見したために、以前は星状神経節をためらっていましたが、患者さんの状態と症状に合わせて星状神経節照射のハンド照射を行うことがございます。