食後に血糖値が急に上がり急に下がることを血糖値スパイクといい、血糖値がトゲのような様相を呈することからこの呼び名がつけられています。この血糖値スパイクの問題について考察していきます。
正常な血糖値について
通常食事をすると血糖値は緩やかに上昇し緩やかに下降します。
正常な血糖値を保つように身体は様々な仕組みによりコントロールされているといえます。そのひとつの仕組みにインスリンというホルモン(内分泌系)があり、血糖値が上昇することでインスリンが分泌され、血糖値は下降します。
インスリンの働きは血糖値を下げるというよりも、骨格筋、脂肪組織、肝臓に作用し糖の吸収を促し、糖を細胞内に吸収するために重要な働きをしているといえます。
なぜ高血糖がよくないのでしょうか。
これは、血液の浸透圧によるエネルギーの交換などの生理作用が低下するからです。
高血糖は血液が濃縮された高浸透圧状態であり、身体は多くの機能を損ね、臓器や血管を壊しかねません。インスリンが正常に分泌されるためには、内分泌系、神経系、エネルギー系など様々な働きにより身体は血糖値を正常にコントロールします。それは幾重にもセキュリティが張り巡らされてるようなもので、一つの機能が低下しても別の機能がその機能を補完するように、身体は恒常性を保ちます。
では、なぜスパイクを起こすのか。
スパイクを起こす原因は、その調節機能が何らかの原因により低下している状態です。
その原因が、内分泌系、神経系、エネルギー系によるものです。それらの機能が低下することでスパイクを起こしますが、様々な検証がひとりひとり必要です。
血糖値をコントロールする自律神経
血糖値のコントロールをするためには、運動と食事による方法が一般的ですが、最近の研究で、脳と膵臓をつなぐ自律神経(迷走神経)を刺激することで、膵臓内のインスリンを産生する細胞(β細胞)を増やせることが発見されました。糖尿病の根本的な治療や予防につながる可能性があります。この技術を使うことでβ細胞の再生が確認され、血糖値の改善が見られました。今後、この仕組みを解明することで、より効果的な糖尿病治療に繋がると考えます。
運動と食事でいくら血糖値をコントロールしても、そもそも自律神経に乱れがある場合に、血糖値を正常に保つことは難しくなります。
インスリンの調整は副交感神経により分泌され、交感神経により抑制されます。もし、その神経系に何らかの異常があれば、インスリンのタイミングに時差があったり、微調整できない蛇口のような状態が想像できます。
自律神経が乱れることで、インスリンがドバっとでたり、微調整できずに、血糖値スパイクを起こすことが考えられます。自律神経により血糖値の上昇に対して、正常にコントロールすることが出来れば血管の負担も少なく、肉体的、精神的、社会的な健康へとつながるはずです。
交感神経の経路と役割
交感神経は、脊髄の胸椎中部から下部(主にT5~T9)のレベルから出発します。
- おおまかな経路
- 胸髄の交感神経節から神経線維が出発。
- 腹腔神経を介して腹腔神経叢に入る。
- 腹腔神経叢から膵臓に到達し、膵臓の血管や腺細胞に作用。
- 役割
- インスリン分泌を抑制。
- グルカゴン分泌を促進(特に低血糖時やストレス時)。
副交感神経の経路と役割
副交感神経は、主に迷走神経を通じて膵臓に伝達されます。
- 詳細な経路
- 延髄の迷走神経核から起始。
- 迷走神経が胸部を通過し、食道裂孔を介して腹腔内に入る。
- 腹腔神経叢(特に膵神経叢)を通じて膵臓に分布。
- 役割
- インスリン分泌を促進(食後の血糖調節に重要)
- グルカゴン分泌を抑制(高血糖時)
まとめ血糖値スパイクを起こさないようにコントロールする方法
血糖値をコントロールするには、食事と運動だけでは不十分で、自律神経をコントロールすることが重要です。
自律神経をコントロールする方法については、改めて別記事にて説明しますが、背中と首回りのむくみや動きを改善することが大切で、肩を回したり、背中をひねりことで滞りを解消し自律神経の機能を高め、自律神経の働きを活性化させることで、血糖値をコントロールすることが出来ます。
血糖値が高まることで様々な問題を引き起こす可能性があることについてはこちらをご覧ください。