肩周囲の痛みには様々な原因がありますが、その中でも見逃されがちなものに「滑液包炎」があります。
滑液包は関節や筋腱の摩擦を和らげるクッションのような役割を果たしており、肩関節周辺には多くの滑液包が存在します。
この滑液包が炎症を起こすと、肩に強い痛みを感じることがあります。
滑液包の役割と炎症
滑液包は、筋腱と骨がこすれ合わないように保護するクッション材です。
しかし、肩の過度な使用や無理な動作を繰り返すと、滑液包が炎症を起こしてしまいます。
この状態を「滑液包炎」と呼びます。
滑液包が炎症を起こすと、周囲の神経や筋腱に圧迫や摩擦が起こりやすくなり痛みが生じます。
特に、肩甲下神経や腋窩神経、肩甲上神経といった神経が炎症により圧迫されることが多く、肩の後面や側面に痛みを感じることがよくあります。
滑液包炎の危険性と進行
滑液包炎が進行すると、肩の腱にさらなる負担がかかり、腱板損傷(いわゆる肩の筋や腱が擦り切れるような状態)を引き起こすリスクも高まります。
特に棘上筋などの腱は摩擦により損傷しやすくなるため、早期に治療を始める(気づき認識する)ことが重要です。
滑液包炎が起こりやすいのは、肩の位置が前方にずれている状態で無理な動作を繰り返している人です。
特に筋トレ(ウエイトトレーニング)をしている方は、滑液包の潤滑性が低下していることに気付かずに無理に肩周囲の筋腱に負荷をかけすぎると疼痛を引き起こし生活や運動に支障をきたすようになるので注意が必要です。
痛みがある場合の注意点
肩周囲に痛みがある場合、まずは滑液包炎を疑うことが大切です。
肩周囲の痛みはしばしば誤診されやすく、適切な原因を把握することが出来ずに症状が悪化することもあります。
そのため、痛みが続く場合は必ず専門家に診てもらい、必ず問診・視診・触診を通じて正確な状態を把握してもらいましょう。
肩関節が拘縮(五十肩など)を起こすと、肩周囲の弾力性の回復には時間がかかります。
MRIやエコーなどの画像診断は誤診が起きやすいので、まずは、問診・視診・触診により滑液包の問題を把握ししてから詳細に検査をすることをお勧めします。
無理なトレーニングは避けましょう
トレーニング中に肩の可動域が狭くなっていると感じた場合、すぐに負荷を軽減し、肩をしっかりとケアすることが重要です。
特にアームカールやベンチプレスのような運動は肩を前方に変位させやすく、そのことに気付かずに運動を続けば、そのうちに必ず悪化し滑液包炎や神経炎に繋がります。
また、トレーニングは「やればやるほど鍛えられる」というものではなく、負荷がかかる分だけケガのリスクが常に伴うことも忘れてはなりません。過度な負荷や無理な動作は避け、適切なフォームで行うことが大切です。