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はじめに~必要なピースとは~
当院はとても高い技術を提供していると自負しています。
高い技術とは、状態を改善するためのテクニックで、私自身の臨床経験は20年近くになります。
ただ、高い技術があり、経験値と幅広い情報量があれば、どんな人の痛みや不調も改善してあげられると思いますか?
答えはNOです。
たしかに知識や技術や経験があれば、状態を改善し、喜んでもらうことが出来る可能性は高まりますが、ひとりひとりの痛みや不調を改善するためには、あとひとつピースが足りません。
その足りないピースが根本原因を見つけるための思考力であり、知識、技術、経験、情熱にプラスした思考力が痛みや不調を改善するために、不可欠なラストピースとなります。
根本原因を見つけるのはとても難しい
多くの接骨院や医療は対症療法を行い、結果的に痛めた部位に対して、定型化されたサービスや技術を提供することに慣れてしまっています。
腰痛であれば、レントゲンをとって、狭窄の有無を調べ、レントゲン上の異常を確認し、対症療法として痛み止めの湿布や注射を打ち、必要であればリハビリを受けるといった決まったサービスです。
接骨院でも同様です。
腰痛のための技法を学び、腰痛患者に対して決まった電気や施術を繰り返し、状態の改善具合を聞き、決まったうたい文句で患者を誘導しています。
様々な研修を受けてきても、腰痛を治すためのテクニックやメソッドといった技術や知識は教えてくれても、どのようなタイプや症状の腰痛患者にどの部位を施術するなどの、具体的な考え方までは教えてくれません。施術技術は向上することができても、あくまでも対症療法であり、逆に知識や技術を学び得るほど思考力が低下する恐れもあります。
なぜなら、逆にその技術に固執するようになったり偏見が生じるからです。
根本原因をみつけるためには、固執や強制や偏見、固定観念などの思い込みを捨て、先入観をもたずにひとりひとり取り組む必要があります。
根本原因とは
原因を突き詰めた根本にあるものです。
原因が原因を作り発症した痛みや不調は、様々な要因が複雑に関連しあっているため、根本原因を見つけることは簡単でありません。
例えば腰痛になって、接骨院や病院にいけば、股関節が悪い、骨盤が、血流が、姿勢が、胃腸が、冷えが、むくみが、狭窄症が、ヘルニアなど、なにかしら原因を言われます。
診る人の先入観により、腰痛の原因は予測されます。
その思い込みは、たしかに経験値があれば、より正確な施術をすることが出来るかもしれませんが、逆に経験値が固定観念をつくり、固執した技術や知識にこだわり治癒を停滞させることがあります。施術に自信があればあるほど、偏見も生まれるということを理解しておかないと、ひとりひとりを診るという基本が置き去りなってしまうことがあります。
何度も言いますが、原因を見つけるのは、簡単ではありません。
偏見を持たないやり方で、ひとりひとり状態を把握し、根本原因を見つける必要があります。
実は、患者自身も先入観があり、私はここが悪いという思いこみが、治癒を停滞させることが多々あります。○○が悪いという思いこみをもつと、その思い込みを施術者に伝え、施術者も○○が悪いと思い込めば治癒は停滞します。
先入観をもつことなく、根本原因を見つけなくてはいけないのですが、そんな方法が果たしてあるのでしょうか。
ラストピース
点と点が繋がった。
アイフォンを開発したスティーブ・ジョブズではないですが、点と点が繋がった瞬間は誰もが経験があるのではないでしょうか、いままでやってきたピースを繋げていくうちに、最初は何枚ピースがあるのかもどこにピースを置くのかも、どのような絵か完成されるかも分からない状態から、ひとつひとつピースを繋げていくと次第に絵が完成していきます。
すべてのピースが揃い、点と点が繋がった時に、今までにない興奮に近い達成感を得られます。それがたったひとつのラストピースというわけです。
そして、そのラストピースがたった1枚のシートだったのです。
それは最も基本的であり、シンプルであり、原点回帰といえます。
たった1枚のシートが根本原因をみつける唯一の方法
先入観をもつことなく根本原因を見つけるための唯一の方法は、たった1枚のシートによる問診視診触診です。
1枚のシートに従って、身体の状態をひとつひとつ確認し記入していきます。
そのシートは体のあらゆる問題を先入観なく、記していくのに役立ちます。そうして出来た1枚のシートは、根本原因を解くための鍵であり、そのシートを紐解くために必要な力が、思考力となります。
冒頭でも説明した通り、当院は、状態を改善するための高い技術力を自負していますが、技術力があっても原因が分からなければ治すことは出来ません。
逆に原因さえ分かってしまえば、そこに必要な技術と情熱を注ぎこむことで、根本改善に繋がります。
1枚のシートの中身
シートには、関節の動きや痛みの部位が記されており、ひとつひとつ確認し、患者の今の状態をチェックしていきます。
患者にも先入観を持たないようにしてもらい、動きをひとつひとつ確認し、自分の状態を確認する作業にもなります。
そうして、できた1枚のシートを確認すると、各部位の関連性が見えてきます。その関連性をいままでの知識や経験を元にして、思考することで根本原因を見つけていきます。
根本原因を見つけることが出来れば、あとは、そこに必要な時間と技術を駆使していけば、根本改善に繋がる第一歩へと踏み出すことが出来ます。
おわりに
原因が分かったとしても、結局は、その状態を改善する技術力がなければ治してあげることは出来ませんし、知識がなければ痛みの原因を理解することも出来ません。痛みや不調を絶対治すんだという情熱も不可欠です。
医学を学んでも残念ながらそこに根本原因は載っていません。
それは、医学は単なる知識であり、問診視診触診による思考の世界こそが根本原因をみつけるための唯一の方法だということが分かります。
それが長年、探し求めていたラストピースだったわけです。
その欠けてたラストピースが埋まり、たった一枚のシートが完成しただけで、長年悩んでいた痛みや不調の原因が急に明確に見えるようなります。原因が分かれば、いままで築いてきた高い技術や幅広い知識や長年の経験や情熱をすべて活かせます。
そう考えると、先入観というのは怖いものであり、世の中は先入観で出来ているともいえます。どんな優れた人でも、偏見が生じそれが正しいものだと疑いません。物事の原因を捉える思考力があれば、きっと世の中もより良いものに変わる気がします。