10月14日・月曜(祝)休診

スポーツの本質と基礎

成長を妨げる痛み:子供のスポーツにおける早期対策の重要性

序論:スポーツをすれば健康になるとは限らない

スポーツは一般的に健康に良いとされ、多くの人が心身の健康を求めて活動に取り組んでいます。しかし、実際にはスポーツが全ての人に健康を保証するものではありません。
特に、怪我や痛みによって競技力が低下するケースは多く、当院を訪れる患者の多くも、怪我をきっかけに来院しています。子供たちの場合、怪我による影響は運動能力の低下にとどまらず、日常生活や学習にも悪影響を及ぼすことがあります。

親や指導者が運動を通じて子供たちに、勝利の喜びや成長を実感してもらい、心身ともに健やかな発達を期待するのは自然なことです。しかし、怪我や痛みによって競技力が低下することは、身体的なストレスを生むだけでなく、精神面にも影響を与えることを知る必要があります。イライラや集中力の低下といった症状は、精神的なストレスの表れであり、さらには社会生活にも影響を及ぼす可能性があります。

このように、スポーツが必ずしも心身の健康をもたらすわけではなく、むしろ不適切な指導や怪我によって身体的・精神的な価値を損なうリスクがあることを理解することが重要です。スポーツを通じて得られるべきは勝利ではなく、個々の成長であるという視点が欠かせません。

スポーツの真の目的は「勝利」ではなく「成長」

スポーツは本来、自己成長を促進するための活動です。
他人に勝つことが目的ではなく、身体的・精神的な発達を通じて自己の価値を高めることにこそ意義があります。しかし、現代のスポーツは早い段階から競技力向上を優先し、選手や子供に過度な負荷をかけるケースが目立ちます。

こうしたアプローチは、一部の子供に成果をもたらす場合もありますが、多くの子供たちの成長は阻害します、時に劣等感を生み出しかねません。運動が本来持つべき「成長する喜び」を失い、勝利至上主義が心身に悪影響を及ぼすことが問題です。

スポーツにおいて重要なのは、全ての子供が肉体的・精神的・社会的に成長できる環境を整えることです。

そのためには、身体の健康価値を高め、怪我や痛みを未然に防ぐことが不可欠です。スポーツを通して心身の健康を目指すためには、単に勝利を目指すだけでなく、自己成長を促進する指導が求められます。

柔軟性の低下がもたらすリスク

柔軟性や可動域が低下したまま運動を続けると、必ずどこかで怪我や痛みを引き起こし、成長が停滞するリスクが高まります。柔軟性の不足は、神経や血管の発達を妨げ、結果として競技力の停滞につながります。運動を通じて神経や血管を発達させることが目的であるにもかかわらず、柔軟性が欠如した状態での運動は、これを逆に阻害してしまいます。

一方で、柔軟性が確保されている状態では、怪我のリスクが減少し、身体感覚が向上するため、運動能力の向上も期待できます。柔軟な身体は、運動時の神経伝達をスムーズにし、競技における反応速度やパフォーマンスを高めます。

痛みのサインと早期対応の重要性

子供が「痛い」と訴えるのは、身体の異常を知らせる重要なサインです。運動を一旦中止し、痛みの原因を早期に特定・ケアすることが成長には欠かせません。
しかし、子供は痛みの場所を正確に伝えられず、膝の問題を「太ももが痛い」と言うこともあれば、足首の不調を「膝が痛い」と感じる場合もあります。

これは、運動によって神経や血管の発達が促進される過程で、身体感覚が未熟なためです。放置された痛みは感覚を鈍らせ、結果として発達や競技力を低下させます。また、一度無視(順応)された痛みは再発するリスクが高く、大きな怪我につながることもあります。

成長を促すためには、柔軟性や可動域を確保し、痛みの原因を早めに取り除くことが重要です。

まとめ:勝つことよりも成長を優先する姿勢を持つ

スポーツの目的は勝つことではなく、成長を促すことです。痛みがあれば、それは身体の価値が低下しているサインであり、即座にケアを行うことが重要です。どんなチームの事情であっても、そこに無理に合わせることはなく、自身の成長を最優先にする思考をもつべきです。

もし、所属チームの方針が「痛みを無視してでも競技を続けろ」というものであれば、他のチームに移る選択肢を検討することも必要です。将来の成長と健康を考えたとき、休息を優先できる環境が望ましいからです。

  • この記事を書いた人

【柔道整復師】 熊谷 卓眞(kumagai takuma)

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