珍しい痛みではないかと思い、同様の痛みでお悩みの方のために症例報告致します。
症状

マラソン後に痛みを伴い、マラソン直後はまだよかったものの、次の日には足を付けると痛み、体重をのせられないほどの激痛。
のせると写真の部位に痛みを伴う。
- 腫れや内出血はみられない。
- 第5中足骨に圧痛はない
- ◯の部位周囲にも特に目立った圧痛や所見がみられない
- 立つと痛む
疑い
はじめ第五中足骨の疲労骨折を疑ったのですが、腫れはない中足骨のどこかを押しても痛みがないため、中足骨の疲労骨折はないと判断
問診視診触診
足部周囲の痛みの部位をチェックします。
- 一番目立った所見がシンスプリント(下腿3分の1下)の圧痛
- そして腓骨下3分の1の腓骨の圧痛
- 腫れ(内出血ではない)などのうっ血が下腿下部内側から外側に視診上も目立つ
- 多少腓骨下部から足部の外側にうっ血がみられる
- 足首の動作に支障はない
施術部位を絞って軽快具合を確認

所見上、腓骨部下3分の1と腓腹神経が浅くなる部位で顕著に圧痛がみられ、マラソンにより神経が障害されて炎症したことにより、足首外側から第五中足骨にかけて放散するように痛みを伴っていたのだと思います。
通常内側の下腿3分の1の疲労骨折は、よく見られるものですが、特にその部位に痛みも強くシンスプリントととの複合した疾患の可能性が高いです。(患者さんは内側の脛骨の痛みは自覚ありませんでした。)
推測ではありますが、まず脛骨に負担がかかり、その後腓骨に負担がかかり、その周囲で腫れや腱の硬さや身体のバランスの影響により、神経が摩耗し痛みを伴ったのではないかと、当院では考えに至りました。
根本原因について
これまでは痛みの部位を特定するための検査ですが、当院は基本的に根本原因まで検査し対策するまでが施術の流れです。
マラソンという競技は特に反復動作の繰り返しという競技特性があります。
なので少しの問題が繰り返されることで神経や腱などの軟部組織を痛めることに繋がってしまいます。
そう考えると、跛(びっこ)であることが一番の問題と考え、状態を改めて見てみると足の長さは左仮性延長(右足が短く)で全体的に肩の動きも背中の動きも右側の方が悪い状態でした。
そしてその根本原因を探っていくと、首の歪みや肩の位置などの姿勢の影響がみられます。そして跛の状態で長く走ったことで負担がかかったものでと思われます。
根本改善として歪みの原因を特定し施術します。
施術や経過
対症療法では。まずは患部の炎症を抑制させることが大切です。
神経の炎症を抑制させること目的で、近赤外線を照射により施術後の改善具合を確認すると、痛みは完全にはとれないものの症状は多少軽快することが分かりました。
そのため、日ごろのケアとしては内側部と外側部の下腿のアイシングを指導。
結果的には1週間に1度の通院で3週ほどでほぼ痛みはなくなったため、やはり神経などの軟部組織の損傷で間違いはなかったと思われます。
まとめ
マラソンによる疲労骨折との鑑別診断として腓腹神経の炎症があることがあります。
腓腹神経は、腓骨下部の後方で浅層に出てくるため、その部位で特に障害されやすいともいえます。
マラソンなどの長い距離を走る場合には、まず姿勢による跛を改善し、股関節などの下腿の動きだけでなく、上半身や肩首の動きも大切です。