- 「日中はそうでもないのに、夜になるとお腹がパンパンに張って苦しい…」
- 「夕食の時間なのに、お腹が張っていて食べる気がしない…」

このようなお悩みを抱えて、当院に来られる方が少なくありません。原因がわからず、「食べ過ぎたかな?」「何か悪いものでも食べたかな?」と食事のせいにしてしまいがちですが、もしこの症状が毎日繰り返されるのであれば、原因はもっと別の場所にあるのかもしれません。
こんにちは、横浜市のくまのて接骨院、院長の熊谷です。 今回は、多くの人が悩まされている「夜間のつらいお腹の張り・膨満感」について、その根本原因である自律神経の働きから、専門家の視点で詳しく解説していきます。
なぜ「夜」に症状が現れるのか?自律神経の”日内変動”の謎
私たちの体には、心臓や胃腸の働きを24時間自動でコントロールしてくれる「自律神経」が備わっています。自律神経には、活動モードの「交感神経」と、休息・消化モードの「副交感神経」があり、一日のうちで優位になる神経が自然と切り替わっています。

- 日中:仕事や活動に集中するため、交感神経が優位になります。体は戦闘モードに入り、消化活動は後回しにされがちです。
- 夜間:体を休め、食事を消化するために、副交感神経が優位になるべき時間です。
夜間にお腹の不調が起こる最大の原因は、この日中の「交感神経モード」から、夜間の「副交感神経モード」への”切り替えスイッチ”が、うまく機能していないことにあるのです。
あなたはどっち?夜間の膨満感を引き起こす「2つの機能不全」パターン
では、なぜ「切り替えスイッチ」が故障してしまうのでしょうか?これには、大きく分けて2つのパターンが考えられます。
パターンA:消化の「アクセル」が壊れている(副交感神経の機能低下)
夜になり、いざ消化活動を始めようとしても、消化のアクセル役である副交感神経そのもののパワーが不足している状態です。

日中は交感神経の働きで乗り切れていたものの、夜になってバトンタッチされるべき副交感神経が弱いため、胃は本格的に動き出すことができません。 その結果、日中に食べたものが胃に停滞し、ガスが発生。だらんと力を失った胃がパンパンに膨れてしまうのです(胃アトニー)。
【特徴】
- 特にストレスを感じていなくても、昔から胃腸が弱い。
- 夜になると心身ともに疲れ果て、ぐったりしてしまう。
パターンB:活動の「ブレーキ」が壊れている(交感神経の過緊張)
日中の仕事のストレスや体の疲れ、精神的な緊張が抜けず、夜になっても交感神経が興奮し続けている状態です。

強力なブレーキがずっと踏まれているため、アクセル役の副交感神経が働こうとしても、その力は打ち消されてしまいます。胃は活動を抑制されたままなので、食べ物は停滞し、膨満感を引き起こします。
【特徴】
- ストレスやプレッシャーを感じると、胃の不調が出やすい。
- 疲れているはずなのに、夜も頭が冴えていたり、寝つきが悪かったりする。
身体の「構造」にアプローチする根本改善策
これまでお話しした自律神経の乱れは、実は「背骨の歪み」や「筋肉の過緊張」といった、身体の物理的な問題が引き金になっているケースが非常に多いのです。

神経は、筋肉や骨の間を縫うように全身に張り巡らされています。つまり、身体の構造が崩れ、神経の通り道が物理的に圧迫されれば、その機能が低下するのは当然のことです。この神経が持つ本来の「弾力性」を取り戻すことが、根本的な改善につながります。
ここでは、それぞれのパターンに応じた身体的アプローチの考え方をご紹介します。
パターンA(アクセルが弱い)の方へ:食事前の「肩周り」のコンディショニング
副交感神経の中でも、胃腸の働きを直接支配する「迷走神経」は、首から肩、胸を通って腹部へとつながっています。この神経の通り道である肩周りや首周りの筋肉が硬直していると、神経の伝達が阻害され、アクセルがうまく踏み込めません。

そのため、食事の前に肩周りを適切にほぐし、神経の通り道を確保してあげることは、副交感神経の機能を上げるために非常に有効です。
【重要】
ただし、これは非常にデリケートなアプローチです。間違った方法でのストレッチやマッサージは、かえって神経を圧迫し症状を悪化させかねません。 当院では、安全に行えるセルフケア方法を、有料のオンラインコンテンツとしてご提供しております。また、LINE公式アカウントやインスタグラムでも、健康に関する有益な情報やコンテンツ配信のお知らせをしています。ご興味のある方は、ぜひそちらをフォローして情報をチェックしてみてください。
パターンB(ブレーキが固着)の方へ:慢性的な「痛み」や「張り」の解消
交感神経は、主に背骨の両脇を走行しています。猫背などの悪い姿勢や、長時間のデスクワークによって背中の筋肉が常に緊張していると、交感神経は興奮しっぱなしになり、ブレーキが固着してしまいます。
「腰痛」「肩の張り」「背中の痛み」といった日常的に抱えている不調は、それ自体が身体にとって大きなストレスであり、交感神経を興奮させる何よりのサインです。
そのため、背中のストレッチなどで柔軟性を取り戻し、これらの慢性的な身体の不調を一つひとつ取り除いていくことが、結果的に過剰なブレーキを緩める最も確実な近道となります。身体からのSOS信号である「痛み」や「張り」に耳を傾け、適切にケアしてあげることが、自律神経のバランスを整える上で不可欠なのです。
【まとめ】
夜間に決まって現れるお腹の張りは、単なる食べ過ぎではなく、あなたの体が発している「自律神経のリズムが乱れていますよ」というサインです。

そしてその原因は、多くの場合、あなたの身体の「構造」そのものに隠されています。普段の腰の痛みや肩張りなどが物理的に自律神経の機能を低下させることは構造上関連しています。
原因を正しく知ることが、つらい症状から抜け出すための第一歩です。ご自身の身体の状態を深く理解し、適切なケアを行うことで、健やかな毎日を取り戻しましょう。
くまのて接骨院では、単に痛みを取るだけでなく、その背景にある自律神経の乱れや身体の構造的な問題までを視野に入れ、根本改善を目指すお手伝いをしています。一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。