足首を捻挫して、1ヶ月。 大きな腫れは引いたはずなのに、歩くたびに足首の前側に痛みが走る。
はじめに:「もう1ヶ月も経つのに…」と、焦りと不安を感じているあなたへ
- 「ただの捻挫だと思っていたのに、なぜ治らないんだろう?」
- 「いつになったら、普通に歩けるようになるんだろう…」
安静にしていれば治ると言われたのに、良くならない。その焦りと不安は、本当につらいものですよね。捻挫を早く治すには、まずは損傷組織を特定することが大切です。
もしあなたが、そんな出口の見えないトンネルの中にいるのなら、この記事は、あなたのためのものです。その長引く痛みの原因は、多くの専門家が見過ごしがちな、ある特定の「腱」にある可能性が非常に高いのです。
一般的な見解と、そこに隠された「本当の問い」
足首を捻挫すると、一般的には「靭帯の損傷」と診断され、シップや固定、そして「安静」が指示されます。
しかし、ここで大きな矛盾が生じます。 もし、本当に靭帯だけの問題なら、安静にしていれば炎症は治まり、痛みは引いていくはずです。
『なぜ、靭帯が原因だと言われているのに、足首の「前側」が痛むのか?そして、なぜ腫れが引いた後も、痛みがしつこく残ってしまうのか?』
当院が示す「核心的な答え」:その痛み、ほとんどが「前脛骨筋腱」の損傷です
長年の臨床経験から、私たちは確信を持って言えます。 捻挫後、1ヶ月以上も続く足首の痛みを訴える方の、その原因の8〜9割は、靭帯ではなく、すねの前側から足の甲にかけて走る「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)の腱」が損傷していることにあります。
そして、この「腱」の損傷は、「靭帯」の損傷とは、治し方が全く異なります。 腱は、その性質上、固定することで固まってしまうケースが多く、それが「捻挫癖」や、痛みが引かない大きな原因となるのです。
なぜ?根本原因のメカニズム解説
では、なぜ捻挫で、この「前脛骨筋腱」が傷ついてしまうのでしょうか。
足首を強くひねった瞬間、関節が可動域を超えて壊れてしまわないように、靭帯や腱が必死にブレーキをかけます。靭帯が伸びきるまでの間に、まずブレーキ役となるのが、この前脛骨筋腱なのです。つまり、靭帯が損傷するほどの捻挫では、ほとんどの場合、この腱も同時に損傷している、と考えるのが自然です。

【専門家メモ】前脛骨筋 (Tibialis anterior)
- 起始: 脛骨(すねの骨)の外側上部
- 停止: 内側楔状骨(足の甲の内側にある骨)、第1中足骨底
- 働き: 足首を上に持ち上げる(背屈)、足首を内側に返す(内反)
- 特徴: 歩行時につま先を上に持ち上げ、地面に引っかからないようにする、非常に重要な役割を担う。この筋肉の機能低下は、つまずきやすさや、捻挫の再発に直結します。
- 神経支配: 深腓骨神経
【負の連鎖】なぜ、前脛骨筋は緊張しやすいのか?
そもそも、なぜあなたの前脛骨筋は、捻挫で損傷しやすいほど、常に緊張していたのでしょうか。
実は、前脛骨筋を支配する神経は、膝の外側で枝分かれしています。身体が硬い人の多くは、この神経の通り道全体が常に「つっぱった」状態にあり、末端である前脛骨筋に、常に過剰な緊張を強いているのです。

この神経のつっぱりは、いくら足首周りを鍛えたり、マッサージしたりしても解消できません。これが、捻挫を繰り返す根本的な原因であり、多くの人が見過ごしているポイントなのです。
どうすれば?「炎症」と「機能回復」を両立させる、当院のアプローチ
筋腱の損傷は、安静にしすぎると固まってしまいます。かといって、炎症があるうちに無理に動かせば、悪化してしまいます。熱感があるうちは安静にし、熱感がなくなってから、いかに的確に動かしていくか。この見極めが非常に重要です。
当院では、まず【近赤外線によるハンド照射手技療法】で、痛みの原因となっている前脛骨筋腱の炎症とむくみを、即効的にコントロールします。

実際に、高校の部活動最後の大会を1週間後に控えた選手が、パンパンに腫れあがった状態で来院されたことがあります。私たちは、まずこの施術で痛みを取り、テーピングでしっかり固定することで、何とか試合に間に合わせ、痛みなくプレーしてもらうことができました。
もちろん、これはベストな選択ではありません。試合後、熱感は強く出て、治癒期間もその分長引きました。しかし、私たちは、その選手の「今、この瞬間」に懸ける想いを尊重し、リスクを説明した上で、その状況でできる最善を尽くします。しかし彼は試合で活躍することができて惜しくも負けてしまいましたが、試合に出れたことはとても喜んで頂けました。
セルフケアのヒント:まず「本当の原因」を知ること
この記事を読んだあなたに、まず知ってほしいこと。 それは、長引く足首の痛みは、靭帯だけでなく、ほとんどの場合「前脛骨筋腱」に問題がある、ということです。
そして、その根本には、身体全体の「神経のつっぱり」が隠れているため、解剖生理を理解していない情報源からの、むやみなストレッチやトレーニングは、かえって危険な場合がある、ということも知っておいてください。
(※なぜ身体が硬くなるのか、その神経のつっぱりを根本から解消するための本質的な考え方については、現在準備中の有料コンテンツで詳しく解説予定です。)
まとめ:その「治らない痛み」、諦めるのはまだ早い
1ヶ月以上も続く、つらい足首の痛み。 それは、あなたのせいではありません。ただ、痛みの「本当の原因」が見過ごされていただけなのです。
その原因を正しく見つけ出し、的確なアプローチを行えば、あなたの身体は必ず応えてくれます。 「どこに行っても治らない」と諦めてしまう前に、ぜひ一度、当院にご相談ください。 その一歩が、あなたが再び、痛みなく歩ける未来へと繋がるはずです。