
「うちの子、最近よく腰が痛いって言うんだけど、部活もやってないし運動不足なのに…」 「中学生の腰痛って調べたら『腰椎分離症』って出てきたけど、大丈夫かしら?」
大切なお子さんの腰痛、心配ですよね。特に運動をしていないのに腰が痛いとなると、原因が分からず不安になるお気持ち、よく分かります。インターネットで検索すると、中学生の腰痛=「腰椎分離症」という情報が多く目につくため、さらに心配が募るかもしれません。

でも、ちょっと待ってください!
実は、運動をしていない中学生の腰痛の場合、その原因が腰椎分離症であるケースはそれほど多くありません。
この記事では、なぜそう言えるのか、そして運動不足の中学生に起こりやすい腰痛の本当の原因について、分かりやすく解説していきます。
「腰椎分離症」ってどんなもの? なぜ運動していない場合は心配しすぎなくて良いの?
まず、よく聞く「腰椎分離症」について簡単に説明します。これは、腰の骨(腰椎)の一部に繰り返し負担がかかることで起こる疲労骨折の一種です。
- 主な原因: ジャンプや腰の回旋(ひねり)動作を繰り返すスポーツ(野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、テニス、陸上競技など)
- 起こりやすい年代: 成長期で骨がまだ弱い中高生
このように、腰椎分離症はスポーツを頑張っているお子さんに起こりやすいのが特徴です。

じゃあ、うちの子みたいに特に運動をしていない場合は、腰椎分離症の心配はあまりしなくていいっていうこと?
はい、その可能性が高いと言えます。もちろん100%ではありませんが、腰椎分離症はスポーツによる繰り返しの負荷が主な原因ですので、運動習慣がない場合は、まず他の原因を考えるのが一般的です。過度に心配しすぎず、他の可能性を探っていきましょう。


もし運動をしていて腰が痛い場合は?
もちろん、運動をしているお子さんの腰痛の場合は、腰椎分離症の可能性も考慮に入れる必要があります。心配な場合は、整形外科を受診し、レントゲン検査を受ければ診断がつきます。
ここで大切なポイントがあります。
たとえレントゲン検査で腰椎分離症が見つかったとしても、それはあくまで「結果」であって、腰痛の「根本的な原因」そのものではありません。
考えてみてください。なぜ、腰の骨が折れるほどの負担がかかってしまったのでしょうか?

えっ、骨折が原因じゃないの? レントゲンで「分離症です」って言われたら、それが腰痛の原因なんだって思っちゃうけど…。
そう思われるお気持ち、とてもよく分かります。レントゲンは骨の状態を見る大切な検査です。ただ、「なぜ骨が折れるほどの負担がかかったのか?」という、その前の段階に目を向けることが根本解決の鍵なんです。多くの場合、骨折する前から何らかのサイン(痛みやだるさ)があったはずですよ。

ちなみに、そのサインは腰だけとは限りません。背中が痛い、膝が痛い、足がだるい疲れるなども腰に負担がかかっているサインです。
多くの場合、次のような順序で起こっています。
- 腰に負担がかかる「何か」(悪い姿勢、体の使い方、筋肉のアンバランスなど)が存在する。
- その結果、腰痛が発症する。
- 腰の痛みや違和感を見過ごし、根本的な問題に対処しないまま運動を続ける。
- 負担が蓄積し、結果的に腰椎が疲労骨折(腰椎分離症)を起こす。
つまり、「腰椎分離症だから腰痛になった」のではなく、「腰に負担がかかる原因があって腰痛になり、それを放置した結果、腰椎分離症になった」という順番なのです。
レントゲン検査は骨の状態を確認するために非常に重要ですが、「骨折=腰痛のすべての原因」と短絡的に考えてしまうと、根本的な問題解決には繋がりません。
では、運動していない中学生の腰痛の「本当の原因」は何が多いの?
統計を取っているわけではありませんが、最近、運動習慣の有無にかかわらず、腰痛を訴える中高生が増えているように感じます。その大きな原因の一つとして考えられるのが、「長時間の座位姿勢」です。
- 学校の授業
- 塾での勉強
- 自宅での学習、読書
- スマートフォンやタブレットの使用
- ゲーム
現代の中学生は、一日の大半を座って過ごしています。あなたのお子さんはいかがでしょうか?

言われてみれば、うちの子、本当に座ってる時間が長いわ… 学校から帰ってきても、宿題かスマホかゲームでほとんど動かないし。まさか、それが腰痛に繋がるなんて考えもしなかった!
そうなんです。大人だけでなく、成長期の中学生にとっても、長時間の座りっぱなしは体に大きな影響を与えます。特に姿勢が悪くなりがちで、それが腰への負担となり、痛みを引き起こすケースが少なくありません。


「座りすぎ」が引き起こす姿勢の変化とは?
長時間座り続ける生活は、知らず知らずのうちに体に変化をもたらします。特に影響を受けやすいのが「お尻」です。
要チェック
ここで少し、ご自身やお子さんのお尻の状態を意識してみてください。長時間座っていることで、以前よりお尻が平たくなった、あるいは少し垂れてきたように感じませんか? 座った時に骨が当たるような感覚はありませんか? もしかしたら、それは「座るためのお尻」になってしまっているサインかもしれません。
本来、お尻の筋肉(殿筋群)は体を支えたり、正しい姿勢を保ったりする上で非常に重要な役割を担っています。しかし、座りっぱなしで筋肉が使われない状態が続くと、筋力が低下し、お尻の位置が本来よりも下にずれて垂れてきてしまいます。
すると、どうなるでしょうか?
椅子に座るとき、本来は坐骨(座った時に椅子に当たるお尻の下の骨)で体重を支えるのが理想ですが、お尻が垂れてしまうと、尾骨(背骨の一番下の骨、お尻の割れ目の上あたりにある)に近い部分で座るような形になりがちです。
さらに、お尻のクッション性が失われるため、ダイレクトに骨で座るような感覚になり、不安定で負担のかかる座り方になってしまいます。
悪い座り姿勢が腰痛を引き起こすメカニズム
尾骨あたりで座るような姿勢になると、骨盤は自然と後ろに傾き(骨盤後傾)、背中全体が丸まりやすくなります。いわゆる「猫背」のような状態です。

重要
すると、骨盤は後ろに傾いて腰が丸まっているのに、上半身(特に腰の上の方)だけを起こそうとするため、腰椎の一部に不自然な「反り」が生まれてしまいます。これを腰椎の過伸展と言います。特に腰の下のほう(腰椎4番・5番あたり)は反りやすく、負担が集中しやすい場所です。
腰椎は本来、緩やかなカーブを描いていますが、一部だけが過剰に反ってしまうと、その部分の関節や筋肉に極度の負担がかかります。これが、運動をしていない中学生にも起こりうる腰痛の、非常に一般的な原因の一つなのです。
この状態が続くと、慢性的な腰痛はもちろん、椎間板への負担増や、さらには運動などの負荷が加わると腰椎分離症のリスクを高めることにも繋がります。

根本改善の鍵は「尾骨」にあり
このように、長時間の座位姿勢による骨盤の後傾と、それに伴う腰椎の過伸展が腰痛の大きな原因となっている場合、表面的なマッサージや湿布だけではなかなか根本的な解決には繋がりません。
また、最近はSNSやYouTubeなどで「簡単!腰痛改善ストレッチ」といった魅力的な情報も多く見かけますが、注意が必要です。なぜなら、一人ひとりの体の状態や腰痛の根本原因は異なるからです。
例えば、今回のケースのように腰椎の過伸展(反りすぎ)が問題となっている場合に、さらに腰を反らせるようなストレッチを自己流で行ってしまうと、良かれと思ってやったことが逆効果になり、かえって痛みを悪化させてしまう可能性も十分に考えられます。
手軽な情報に安易に飛びつくのではなく、その情報が本当にご自身やお子さんの状態に適しているのか、信頼できる情報なのかを慎重に見極めることが大切です。
姿勢の土台となっている骨盤、そしてそのさらに根元にある「尾骨」の状態を整えることが、改善への重要な鍵となります。

尾骨!?お尻の先のところよね?そんなところが腰痛に関係してるの?普通の整体とかマッサージじゃダメなのかしら?
はい、尾骨は小さい骨ですが、骨盤の動きや背骨全体のバランスに影響を与える、いわば「姿勢の土台」の一部なんです。座り方の癖などで問題が起きることもあります。ただ、非常にデリケートな部分でもあり、専門的な知識と技術が必要になるため、全ての施術院でアプローチできるわけではないのが現状ですね。だからこそ、原因をしっかり見極めて、適切なアプローチを選ぶことが大切になります。

当院のアプローチ
当院では、丁寧なカウンセリングと姿勢分析を通して、腰痛の根本原因がどこにあるのかを的確に見極めます。
もし、長時間の座位姿勢による骨盤や尾骨の問題が原因であると判断した場合、その問題のある箇所だけに的確に施術を行います。
- 痛みの原因となっている左右差や歪みを特定
- 尾骨を含めた骨盤周りの調整
- 正しい姿勢を維持するためのアドバイス
これにより、「その場しのぎではない、持続的な症状の改善」を目指し、実際に多くのお子さんや保護者の方々に喜んでいただいています。
「うちの子の腰痛の原因、もっと詳しく知りたい!」 「具体的なセルフケアを知りたい!」
という方のために、さらに詳しい対策法やセルフケアについては、別の記事(有料)でご紹介させていただく予定です。公開まで今しばらくお待ちください。
まとめ
- 運動していない中学生の腰痛は、腰椎分離症の心配は少ないことが多いです。
- 主な原因は、長時間の座位姿勢による姿勢の悪化(骨盤後傾、腰椎過伸展)である可能性が高いです。
- お尻の形や座り方、尾骨の状態が腰痛に関係していることがあります。
- 根本的な改善には、姿勢全体、特に骨盤や尾骨からのアプローチが重要になる場合があります。
- 正しい知識に基づけばご自身でできる対策もありますが、やり方を間違えると悪化する可能性もあります。
- 痛みが続く場合や心配な場合は、自己判断せず、まずは医療機関や信頼できる専門家にご相談ください。
この記事が、お子さんの腰痛に悩む皆さんの不安を少しでも和らげ、原因を考えるヒントになれば幸いです。