はじめに:「枕が合わなかったのかな…」で、済ませていませんか?
朝、目が覚めた瞬間、首に走る激しい痛み。 特定の方向に首を動かせず、一日中、仕事や家事に支障が出てしまう…。
多くの方が一度は経験する「寝違え」。そのつらさは、経験した人にしかわからないものですよね。「数日すれば治るだろう」と、痛い場所を無理にストレッチしたり、グリグリと揉んだりして、かえって症状を悪化させてしまった、という経験はありませんか。
この記事では、そんなつらい寝違えの本当の原因と、絶対にやってはいけないNG行動、そして一日でも早く回復するための正しい対処法について、専門家の視点から徹底的に解説します。
一般的な見解と、そこに隠された「本当の問い」
- 「肩が凝っているから寝違えやすい」
- 「肩甲骨周囲動きが悪いから、もっと動かした方が良い」
世間では、そのように考えられがちです。しかし、肩が凝っている人すべてが、頻繁に寝違えるわけではありません。
また、SNSやYouTubeなどで流行している「肩甲骨はがし」のようなセルフケア。良かれと思って真似した結果、逆に首が回らなくなったり、背中に痛みが出たりするケースも後を絶ちません。
『なぜ、ただの筋肉痛とは明らかに違う、首が回らないほどの激痛が起きるのか?そして、なぜ痛い場所を揉むと、かえって悪化してしまうのか?』
当院が示す「核心的な答え」:それは「肩甲骨」と「神経」の炎症です
その答えは、痛みの原因が、単なる筋肉のコリではないからです。 あなたの寝違えは、肩甲骨の角(上角)と、その周辺にある滑液包(かつえきほう)、そして「肩甲背神経(けんこうはいしんけい)」という神経が、何らかの理由で摩耗し、強い炎症を起こしている状態なのです。
炎症を起こしている場所を、さらに揉んだり、無理に動かしたりすれば、火に油を注ぐようなもの。これが、寝違えを悪化させてしまう、最も大きな理由です。
なぜ?根本原因のメカニズム解説
では、なぜこの「肩甲骨」の周りで、炎症が起きてしまうのでしょうか。 その多くは、間違ったセルフケアや、無意識の癖に原因があります。

【専門家メモ】寝違えに関わる主要な筋肉と組織
- 肩甲挙筋 (Levator Scapulae):
- 起始: 上位4つの頸椎(首の骨)の横突起
- 停止: 肩甲骨の上角(内側の上角)
- 働き: 肩甲骨を引き上げる(肩をすくめる動作など)
- 肩甲骨周囲の滑液包:
- 筋肉や腱が、骨とこすれる部分にある、潤滑油の入ったクッションのような袋。これが炎症を起こすと、強い痛みを発します。
- 肩甲背神経:
- 肩甲挙筋や、背中にある菱形筋を支配する神経。肩甲骨の動きと密接に関わっています。
肩甲骨周囲の滑液包のイラスト

【負の連鎖】なぜ、間違ったケアで悪化するのか
「肩甲骨はがし」のように、無理やり肩甲骨を動かすケアが流行っていますが、これには注意が必要です。
【負の連鎖】
- 良かれと思って、肩甲骨をグリグリと無理に動かす
- 肩甲骨の角と、その上を通る筋肉や神経が、過度にこすれ、摩耗する
- 摩擦によって、滑液包や神経に強い炎症が発生
- 結果として、首が全く回らないほどの激痛や、背中の痛みとして現れる
特に、身体が硬い自覚のある方が、柔らかいアスリートの真似をして無理に動かすのは非常に危険です。彼らは、肩甲骨周囲が柔らかく、摩耗する心配がないからこそ、あの動きができるのです。
どうすれば?「神経の炎症」を的確に抑える、当院のアプローチ
このように、痛みの原因が「神経の炎症」にある場合、大切なのは、まずその炎症を的確に、そして安全に鎮めることです。
当院では、この神経の炎症に対し、【近赤外線によるハンド照射手技療法】を用います。 痛む場所を物理的に刺激することなく、深層部まで温熱効果を浸透させ、神経の興奮を鎮めることで、非常に高い即効性が期待できます。実際に、このアプローチで、首が全く動かせなかった方の痛みが、その場で劇的に改善するケースも少なくありません。

セルフケアのヒント:何よりも「安静」が一番の薬
もし、あなたが朝起きて「寝違えた!」と感じたら。 ご自宅でできる、最も安全で、最も効果的なセルフケアは、「何もしないこと」です。
- 痛いところを探そうと、指でグリグリ押さない。
- 治そうとして、無理に首や肩を回さない。
- 痛みを我慢して、ストレッチをしない。
これらの行動は、すべて炎症を悪化させる原因になります。 下手に何かをしようとせず、安静にしていることが、結果的に一番の近道になるのです。
とはいえ、「安静に」と聞いても、何かやりたくなってしまうのが人の心情ですよね。もし、どうしても何かをしたい、ということであれば、唯一おすすめできる対処法があります。それは、肩甲骨上角(肩甲骨の内側の上角)の、神経がある部位へのアイシングです。

下手に何かをしようとせず、安静にしていることが、結果的に一番の近道になるのです。
まとめ:その痛み、正しい知識で向き合えば怖くない
朝、突然襲ってくる、つらい寝違えの痛みは、単に筋肉の問題ではなく、神経の問題が隠れています。
そのサインを正しく読み解き、無理に動かさず、的確なアプローチを行えば、あなたの身体は必ず応えてくれます。 「どこに行っても治らない」「繰り返してしまう」と諦めてしまう前に、ぜひ一度、当院にご相談ください。 その一歩が、あなたが日々の痛みから解放される、未来への扉を開くはずです。