はじめに:「投げすぎ」その一言で、お子様の可能性を諦めていませんか?
- 「ボールを投げると、肩が抜けるような不安な感覚がある…」
- 「全力で腕が振れない。でも、ハッキリとした痛みではない…」
- 「フォームが悪いのか、練習が足りないのか…」
もし、野球に本気で打ち込むあなたのお子様が、このような言葉にならない不調を抱えているなら、この記事はあなたのためのものです。
先日も、まさに同じような症状で悩む高校生の選手が来院されました。 その「抜けるような」不安感は、身体が発している非常に重要なSOSサインです。そして、その原因は、多くの場合、痛む肩そのものではなく、全く別の場所に隠されています。
当院の分析とアプローチ:なぜ当院では肩だけでなく腰も見るのか?
検査で見つかった、客観的な事実
当院では、まず「肩が痛い」という言葉だけで判断しません。独自の「10の姿勢分析」の一環として、肩の3つの基本的な動きをチェックします。
この選手の場合、当院の客観的な指標によると、腕を**前から上げる動き(前方挙上)**に、明らかな制限が見つかりました。なぜこれが客観的な指標なのかというと、この選手もその動きが出来ず、引っ掛かりがあることをその検査で初めて知るからです。
当院の見立て:痛みの“根本原因”
では、なぜ肩の動きが悪くなり、「抜けるような」不安定さが生まれるのでしょうか。

触診で詳しく調べていくと、肩の前側に強い痛み(圧痛)が見つかりました。これは、腕の力こぶの筋肉である上腕二頭筋の腱が、炎症を起こして分厚くなっているサインです。この分厚くなった腱が、投球時に肩関節でこすれたり(摩耗)、引っかかったりすることで、痛みや不安定さを引き起こしていたのです。
更に、それらの問いを続けます。**「では、なぜ上腕二頭筋の腱に、それほどまでの負担がかかってしまったのか?」**という、根本原因を探ります。
姿勢分析の結果、その答えは「腰」にあることはすぐにわかります。 投球動作は、足で生み出したエネルギーを、下半身、体幹、そして胸郭へとスムーズに連動させてボールに伝えます。しかし、この選手の身体は、腰背部が不安定で、胸郭が硬くなっていたため、その連動が失われていました。その結果、腕の力だけで無理やり投げようとするため、肩の前側にある上腕二頭筋の腱に過剰な負担がかかり、炎症を引き起こしていたのです。
※その他、肩周囲のトレーニングのやり方にも問題があることがわかります。
上腕二頭筋のストレッチやり方
当院の根本改善アプローチ
- 原因部位への「ハンド調整」
- 患部へのアプローチ 「近赤外線照射」
- 土台が整い可動域が改善すれば、そこに摩耗によるストレスがなくなるため、痛みも軽快します。その上で、炎症を起こしている上腕二頭筋の腱に対して、近赤外線照射などで患部の調整を行い、痛みを鎮めます。
- あなただけの「ストレッチ指導」
- 施術によって改善した身体の連動性を維持し、再発を防ぎパフォーマンスを維持するため、この選手には腰椎と胸郭の安定性を高めるための、ごく簡単なストレッチを処方しました。
改善への道のり
このアプローチの結果、60分の初回の施術後には、制限されていた3つの動きが全て改善し、ご本人も「身体が軽くなった」と、その変化をすぐに実感されました。 その後、1週間の間に2回通っていただき、違和感なく、不安なくボールを投げられる状態まで回復しました。
まとめ:スポーツは「身体の価値」を高めるためにある
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
痛みを伴う以前に、身体は必ず「動きが悪い」というサインを発しています。大切なのは、そのサインを見過ごさず、「自分では分からないことがある」と知ることから始めることです。
スポーツは、心身を充実させる素晴らしいものです。しかし、それは**「身」**、つまり身体という土台が健やかであってこそ。身体を壊してまで追い求める勝利に、本当の価値はありません。
スポーツの本質は、ご自身の身体の価値を高め、その成長を実感することにあります。「壊される」ことなく、お子様が最高のパフォーマンスを発揮し、野球というスポーツを通して真に成長するために。その一歩を、私たちと一緒に踏んでみませんか。