はじめに:「なんとかしたい」その想いが、裏目に出ていませんか?
はじめまして、横浜市でくまのて接骨院の院長をしております、熊谷です。
- 「首が痛いから、痛いところを探して揉んでみた」
- 「健康のために、テレビで見た肩甲骨を寄せる運動を頑張っていた」
そのセルフケアで、かえって痛みが強くなってしまった…ということはありませんか?
先日も、まさに同じような状況で、夜も眠れないほどの首の痛みに悩む70代の女性が駆け込んでこられました。3週間前からあった痛みが、ご自身で対処しているうちに急激に悪化してしまった、とのことでした。
なぜ、良かれと思ったセルフケアで、症状は悪化してしまったのでしょうか? この記事が、その答えと、正しい対処法への道筋を示すきっかけとなれば幸いです。
患者様からいただいた喜びの声
まず、今回ご本人の許可を得て、実際にいただいた喜びの声をご紹介します。
70代女性様・5日ほど眠れないほどの首の痛み
「久しぶりに眠れた実感!首の痛みが数日でほぼ元通りに」
その夜は久しぶりに眠れた実感がありました。3回目の施術後はほぼ元に戻った感じでした。原因は、身体の歪みなど問題はたくさんあるが耳の後の筋肉の凝りからではないかとの事でした。開院当初から困った時には夫共々いつも駆け込んで助けていただいています。 運動も教えていただけるので出来る事は自分で努力しなければいけないといつも思うのですが。これからは定期的にメンテナンスをしていただき気持ち良く歳を重ねていきたいと思います。
このように喜んでいただけることが、私たちの何よりの原動力です。では、なぜこの患者様の痛みは、これほど早く改善したのでしょうか。その背景にある、当院の分析とアプローチをご説明します。
当院の分析とアプローチ:なぜ、揉むと悪化するのか?
検査で見つかった、本当の原因

この患者様の場合、左を向く際にズキッと電気が走るような痛みが特徴でした。これはヘルニアや狭窄症のような骨の問題ではなく、筋肉や腱の炎症が強く疑われるサインです。
問診と検査を進めると、案の定、ご自身で痛い場所を探して揉んだり、肩甲骨を無理に寄せる運動をしていたことが分かりました。これが、炎症を悪化させてしまった直接の原因です。
視診・触診では、首の胸鎖乳突筋という筋肉の緊張が非常に強く、その影響で左肩の挙がりにも問題が出ていました。さらに、痛みや腫れは鎖骨から脇の下(腋窩)にまで広がっている状態でした。
当院の根本改善アプローチ
痛みの原因が「炎症」である以上、患部を揉むことは火に油を注ぐようなものです。
当院では、以下のステップで慎重にアプローチしました。
- 炎症部位への直接的な刺激は避ける: 筋肉は、痛む中心(筋腹)を揉んではいけません。筋肉の始まりと終わり(起始・停止)である、鎖骨と耳の後ろを意識した施術で、まず筋肉全体の緊張を解放します。
- 関連部位へのアプローチ: 首の痛みは、首だけの問題ではありません。根本的な原因である巻き肩を改善するため、ハンド調整の胸郭の調整により、首の土台を作ります。
- 神経へのアプローチ: 痛みの影響が広がっている脇の下(腋窩)や、関連する頸椎周囲に近赤外線を照射し、神経の興奮を鎮め、回復を促します。

この結果、施術後すぐに首を回す時の痛みは消失し、その晩から眠れるようになりました。その後、週に2回のペースで通っていただき、5回ほどの施術で痛みはほとんどなくなりました。
まとめ:ネットの情報を鵜呑みにする前に
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今回のケースで最もお伝えしたいのは、良かれと思ったセルフケアが、必ずしもあなたにとって正しいとは限らない、ということです。
特に、「肩甲骨を寄せる」「痛いところを揉む」といったケアは、インターネット上では当たり前のように紹介されています。しかし、身体の状態は一人ひとり全く違います。炎症が起きている時にそれをやってしまえば、今回の患者様のように、眠れないほどの痛みにつながることもあるのです。
私たちの役割は、ただ痛みを改善するだけではありません。あなたの身体が今どういう状態で、だから「何をすべきで、何をしてはいけないのか」を、専門家として正確にお伝えすることです。
もし、あなたが今、原因不明の痛みに悩み、ネットの情報に振り回されているのなら。 ぜひ一度、あなたの身体と向き合うお手伝いをさせてください。
院長のより深い考え: なぜ首の痛みの原因が、胸椎や他の部位にあるのか?そのより深いメカニズムや、私の健康哲学の背景については、個人ブログ『くまでblog』で詳しく解説しています。ご興味のある方は、そちらもご覧ください。