こんにちは、くまのて接骨院です。
「肩甲骨はがし」という言葉を、テレビやインターネットで頻繁に目にするようになりましたね。長年のつらい肩こりなどに悩む方にとって、とても魅力的な言葉に聞こえるかもしれません。
しかし、当院には**「動画を見てセルフケアを続けたら、かえって首が痛くなった」「良かれと思って運動したのに、症状が悪化してしまった」**という方が、後を絶ちません。むしろそれらが問題ではないことに気付いていないケースも多いです。
なぜ、そのようなことが起こってしまうのでしょうか?
今回は、巷で広まっている「肩甲骨」に関する様々な情報について、多くの方が抱える疑問にQ&A形式でお答えしながら、当院の考え方をお話しします。
肩甲骨に関するよくあるご質問
1. 巷で流行りの「肩甲骨はがし」、やってもいいですか?
A. いいえ、自己流で無理に行うことは極めて危険です。当院では推奨していません。
まず、「はがす」という言葉のイメージに大きな誤解があります。肩甲骨は肋骨に張り付いているわけではなく、文字通りベリベリと「はがす」ようなアプローチは、身体を傷つけるだけです。
本来の目的は、肩甲骨と肋骨の間にある組織の**「潤滑性を上げ、スムーズな動きの遊びをつくる」**ことです。
特に、肩甲骨の内側(背骨側)には多くの神経が通っています。力任せに指を入れたり、無理に動かしたりすることで神経を傷つけてしまうと、それが新たな痛みの引き金になる可能性があります。
2. 不調の原因は、肩甲骨が固いからではないのですか?
A. 多くの場合、肩甲骨の動きの悪さは「原因」ではなく「結果」です。そして本当の土台は「脊柱」にあります。
「肩甲骨が固いから」と考える方が多いですが、そもそも肩甲骨はそれ自体が土台なのではありません。
例えば、肩甲骨に付着する広背筋や僧帽筋といった大きな筋肉は、脊柱や骨盤を土台として腕や肩甲骨に繋がっています。つまり、本当の土台は脊柱であり、その状態が悪ければ、土台の上に乗る肩甲骨の動きも当然悪くなります。
背骨の柔軟性が失われたり、正しい弯曲が崩れたりすることが、上肢への神経や血管の流れを悪くし、結果として肩甲骨周りの筋肉が緊張し動きを制限するのです。土台を無視して肩甲骨だけを動かそうとするのは、建物の基礎を見ずに壁だけを修理するようなものです。
3. ストレッチをすると肩甲骨がゴリゴリ鳴ります。これって効いてる証拠?
A. いいえ、むしろ身体からの危険信号かもしれません。
音が鳴ることを「効いている」とポジティブに捉える方が多いですが、その正体は、固くなった筋肉や腱が骨とこすれる音であることがほとんどです。
それを「気持ちいいから」と繰り返していると、組織に微細な傷がつき、炎症を引き起こす可能性があります。音を鳴らすこと自体を目的にするのではなく、なぜ音が鳴るほど固くなっているのか、その原因を探ることが大切です。
4. 肩甲骨を動かすと痩せるって本当ですか?
A. それだけで痩せる、という魔法のような効果は期待できません。
「肩甲骨周りには褐色脂肪細胞があり、刺激すると代謝が上がって痩せる」という説が有名ですね。理論上は間違いではありませんが、それによって消費されるカロリーは、残念ながらごくわずかです。
肩甲骨を動かすことで姿勢が改善し、結果的に全身の代謝が上がる可能性はありますが、それはあくまで副次的な効果です。本質的な身体づくりには、やはり食事や全身の運動習慣、そして身体の土台を整えることが不可欠です。
5. テレビで見た運動をしたら、逆に痛くなりました。なぜでしょう?
A. その運動が、あなたの身体の「土台」に合っていなかったからです。
残念ながら、すべての人に効果がある万能な運動というものは存在しません。著名なアスリートが実践しているトレーニングでさえ、運動習慣のない一般の方が真似をすれば、怪我に繋がる可能性が高いでしょう。
それは、一人ひとり身体の「土台」が違うからです。
関節の可動域や姿勢、筋肉のバランスといった土台が整っていない状態で、表面的に動きだけを真似しても、身体の歪みを助長し、かえって症状を悪化させてしまいます。一般的に良いとされる「肩甲骨を寄せる」運動ですら、その方の身体の状態によっては逆効果になり得ます。
6. 肩甲骨周りで、特に問題が起きやすい「危険なポイント」はありますか?
A. はい、神経や血管が圧迫されやすいポイントがいくつか存在します。
自己流のケアで特に注意が必要なのは、神経や血管が密集している部位です。代表的なものをいくつかご紹介します。
- 胸郭出口(小胸筋の下): 猫背などで小胸筋が硬くなると、その下を通る腕への神経や血管が圧迫され、腕のしびれやだるさを引き起こします(小胸筋症候群)。
- 腋窩四角腔(わきの後ろ): ここを通る腋窩神経が圧迫されると、肩の側面の感覚異常や、腕が上がりにくくなる原因になります。
- 肩甲骨と肋骨の間: 肩甲骨の動きを司る肩甲背神経が、筋肉の緊張などで圧迫されると、肩甲骨の内側にしつこい痛みやコリ感を生じます。
これらの症状は、ただの「コリ」と放置されがちですが、神経が関わる厄介な問題です。だからこそ、専門家による正確な評価が必要不可欠なのです。
7. くまのて接骨院では、肩甲骨をどのように施術するのですか?
A. 肩甲骨だけを単体で見ることはありません。まず、あなたの身体全体の「土台」から評価します。
当院では、まず丁寧な問診と視診により、あなたの身体の歴史やクセ、そして現在の状態を正確に把握します。
そして、肩甲骨の動きを悪くしている根本原因である**「脊柱のズレ」や「全身の循環不良」**といった土台の問題にアプローチしていきます。部分的な対症療法ではなく、身体の土台そのものを「0から1」の状態に整えていくことで、症状が再発しにくい身体を創ることを目指します。
まとめ:あなたの身体の答えは、あなたの中にあります
メディアの情報に一喜憂憂し、流行りの健康法を試しては落胆する…そんな経験はありませんか?
本当に大切なのは、あなた自身の身体が今どうなっているのかを正しく知ることです。私たちは、そのための道標となり、専門家としてあなたの身体づくりを全力でサポートします。
▼ご自身の身体の状態を正確に知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください (ここに予約ページや問い合わせへのリンクを設置)