【ストレッチの目的 】インナーマッスルの幻想と、ストレッチの「ソフト(OS)」

これまで、当院からストレッチに関する具体的な発信はあえて控えてきました。 世の中にはすでに無数の「やり方(ハード)」が溢れかえっており、そこに新しいポーズを一つ追加したところで、皆様の身体の根本的な解決にはならないと考えていたからです。

しかし今回、長年の臨床現場で構築してきた当院独自の「ストレッチのOS(身体の基本原理)」を公開することにしました。

ストレッチの基本原理を本当に理解するためには、単なるデータではなく、生きた身体に向き合う「創造的な解剖生理学の理論」が必要です。筋肉という複雑な組織の変化は、現代の科学だけで完全に証明することは非常に困難だからです。

ストレッチのOSをインストールするにあたり、まず手始めに皆様に捨てていただきたい「誤った常識」が一つあります。

それは、「インナーマッスル(深層筋)」という想像の中の概念です。

巷では「インナーマッスルだけを単独で伸ばす」といった特殊なやり方がもてはやされていますが、解剖学的にそのようなアプローチは不要です。身体はすべて繋がっており、筋肉同士が互いにテンション(張力)をかけあうことで初めてストレッチは成立します。 大切なのは、部分的な幻想に囚われるのではなく、「筋肉全体をしっかりと伸ばすこと」に尽きます。

では、なぜ筋肉全体を伸ばす必要があるのでしょうか。

【最重要】ストレッチのソフト(目的)

ここが、当院のストレッチにおける最も重要な「ソフト(目的)」になります。

ストレッチの目的は、「ただ筋肉を物理的に引き伸ばすこと」ではありません。 筋肉組織が本来持っている『弾力性』を高め、筋肉の質そのものを上げることです。

この「弾力性を引き出す」という明確な目的と理解がないまま、見よう見まねで形だけを真似ても、ストレッチ本来の効果は得られない可能性が非常に高いです。弾力性を高めるための唯一の正解が、「筋肉全体をしっかり伸ばす」というシンプルな真理に行き着くのです。

まずは具体的なポーズ(やり方)を探す前に、この「ストレッチの本当の目的」をしっかりとご理解ください。

次回は、筋肉全体を安全に伸ばすために絶対に知っておかなければならない解剖学のセオリー「協力筋」について解説します。これを知らないと、良かれと思ったストレッチで肉離れを起こすことになります。

(次回へ続く)

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