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顔面神経障害の症例報告:開口障害が頭部施術で改善した事例

はじめに

長い間顎関節症だと疑われ、様々な施術を行っても中々改善しなかった患者さんがいらっしゃいました。症状が悪化し、「口からこぼれ落ちる」という特異な症状が現れたことをきっかけに、当院では顔面神経障害として施術を行うことにしました。顔面神経に沿った施術を実施した結果、良好な成果が得られた症例を報告します。

原因と症状

顎関節症と顔面神経障害の症状について説明します。

顎関節症の症状

顎関節症は、顎の痛みや開口時の違和感、さらには音が鳴るといった多様な症状を引き起こします。具体的な症状としては以下のものがあります:

  • 顎の痛みや不快感
  • 開口時の制限
  • 顎関節のクリック音やパキパキとした音
  • 食事中の痛みや違和感
  • 頭痛や首の痛みを伴うこともある

上記の症状も顕著にみられておりました。

顔面神経障害の症状

顔面神経障害は、顔面神経の機能不全によって引き起こされる様々な症状を含みます。主な症状は以下の通りです:

  • 顔面の片側または両側の麻痺
  • 表情筋の動きの低下や不全
  • 口の開閉が難しい(開口障害)
  • 味覚の変化
  • 耳周囲の痛みや不快感

顔は傾き、口の動きには確かに以前から違和感はありました。

顔面神経障害の一般的な対症療法

  • 炎症を抑えるためのステロイド剤
  • 顔面の痛みを軽減するための鎮痛薬
  • 緊張を緩和するためのマッサージ
  • 顔面の筋肉に電気刺激を加える物理療法
  • 東洋医学などの鍼治療
  • ストレスや不安の緩和による心理療法
  • 顔面神経の圧迫や損傷が認められる場合に外科療法

施術の経過と効果

症状や状態についての説明

「口が開かない」「口からこぼれる」という特異的な症状が見られる場合、これは顎関節症だけではなく、顔面神経障害から派生した顎関節の症状であると考えられます。

自然治癒の概念に基づき、原因を徹底的に突き詰める必要があります。起点となる原因に対する施術を行うことで、改善が見られ、回復力が高まることで2次的に生じた痛みにも効果的かつ効率的な施術が実現します。今回のケースでは、顎関節症が2次的な痛みであり、その根本的な原因が顔面神経障害であるため、顎関節症への施術ではなく、顔面神経に対する施術が必要です。

改善のメカニズム

顔面神経に対する対症療法については先ほど説明しましたが、顔面神経は脳神経の一つであり、その経路は表面的です。脳幹から生じた顔面神経は茎乳突孔を経て頭蓋外側部に繋がり、アゴや頬、目の周囲に神経が分布しています。

顔面神経がどの部分で問題を抱えているかによって、施術の可能性が変わってきます。特に、茎乳突孔から先に圧迫や摩擦が生じて神経が障害されている場合、施術による回復が期待できるケースが多いです。

圧迫が生じていたのは、茎乳突孔周囲の空間や耳下腺周囲です。
この部分には胸鎖乳突筋や顎二腹筋が存在し、その周囲にむくみが生じると、神経に影響を及ぼしやすくなります。現代の生活習慣では、特に後頭部の周囲にコリが生じやすいことも、この問題を助長する要因と考えられます。

施術部位の説明とイラストの挿入

くまのて接骨院院長イラスト転載禁止ネッター参照耳下腺に顔面神経が貫通するイラスト

耳の周囲から顔面神経が耳下腺を貫通し、顔面に枝を出している様子をイラストで示しています。施術範囲は緑の部位で表されています。

当院では、弾力性の回復が非常に重要だと考えています。そのため、特に耳下腺周囲において、弾力性の回復を促すために光を照射し、施術を行いました。このアプローチにより、顔面神経の機能を改善し、症状の軽減を図ることが期待されます。

施術後の状態や症状の変化

施術前と比べて、左右差が大きかった顔の歪みが整い、施術した側の方が逆にすっきりし整ったように感じました。そして顎関節の機能も施術前の比べて開口が楽になり開きやすくなったことからも顔面神経の影響による顎関節への影響だったことが伺えます。

定期的に施術を行い、しっかり弾力性が回復すれば自然治癒の原理により元には戻らないと考えます。

その他の考えられる要因と考察

この症例で最も大きな問題として気になったのは、歯に関連する問題です。
入れ歯などが原因で開口に問題が生じた結果、顎周囲の筋肉にコりや緊張が生じ、顔面神経に障害を引き起こしやすかったことも考える必要があるかもしれません。また、身体の歪みや腰・膝の問題も抱えていましたが、自然治癒の観点から見れば、起因する問題を解決すればこれらの不調も改善されることが多いです。そのため、身体の歪みが顔面神経の問題を引き起こしていたのではなく、逆に顔面神経の問題が身体に歪みをもたらしている可能性もあります。

施術においては、問診、視診、触診が重要ですが、今回のケースでは特に慎重な診断が求められました。表情などからも顔面神経の影響を読み取ることができたと考えます。顔面神経の専門家であれば、すぐにその影響を見抜くことも可能だったかもしれません。顎関節に焦点を当てるあまり、問題が見えなくなる錯覚が、治癒を停滞させる要因となっていたと感じます。

参考情報

  • ネッター解剖アトラス
    顔面神経や関連構造についての詳細な解剖学的情報を提供します。このアトラスは、顔面神経の走行や分岐、関連する筋肉や器官の位置を理解するのに役立ちます。
  • この記事を書いた人

【柔道整復師】 熊谷 卓眞(kumagai takuma)

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